今月1月17日、阪神大震災から25年を迎えた。この間にも毎年のように地震や津波、土砂災害、水害、火山噴火などの自然災害が日本列島で起きてきた。そのたびに全国から支援者が被災地に駆け付けるが、岡山県総社市は被災地を支援するための「大規模災害被災地支援条例」を定め、市長を先頭に職員が全国で活動してきた自治体だ。その経験が平成30年の西日本豪雨で被災地となった際にも生かされたという。行政主導では全国初とされるペット同伴者専用の避難所を設け、「活動の原動力は障害者雇用などで培った弱者に寄り添う心」という片岡聡一市長(60)に日本の防災への意見を聞いた。(聞き手 編集委員・北村理)
■全国初のペット避難所
--昨年の台風19号でペット同伴の避難者が避難所の入所を拒否された事例が複数ありました。一昨年の西日本豪雨でペット避難所を市役所内に設けた市長としてどう思いましたか
片岡 ペットを飼っている人は全人口の2割ともいわれます。今後も増えていくでしょう。そういう時代ですから、災害時の避難計画のなかにペット対策のプランをいれるのは当然だと思います。それがなければ、ペットのいる家族は避難を躊躇(ちゅうちょ)している間に被災したり、被災した自宅にこもったり、車中泊して体調を崩し、二次被害にあうことになります。国にも提言していますが、ペット避難所の設置は義務化すべきだと思いますよ。
--ペット同伴でない避難者から苦情はありませんでしたか
片岡 当然ありました。「においがいやだ」とか、「不衛生」とか、「うるさい」という苦情はありました。ペット同伴の避難者からも、「猫が多すぎる」とか、「ペット避難所が狭い」といった苦情がありました。
--そうした苦情にはどのように対応しましたか
片岡 ペットが嫌だという避難者には、「ペットは家族ですよ。子供がうるさいからといって、子供を自宅において親だけ避難させますか?」などといって説得を試みました。市の方針を明確に説明し、協力を求めました。
--被災地の膨大な作業の中で個々の避難者に対応することは大変です
片岡 それは災害対策本部長たる市長の責任です。膨大な作業の決断をするために市の職員に伝えた行動原則は「被災者のためになるなら法律を破れ」、「非常時に公平平等にこだわるな」、「決断は10秒でしろ」です。支援にスピード感がなければ被災者はどんどん疲弊し立ち上がる気力を失っていきます。被災者のためになると判断したら、即断即決でゴーサインを出しました。
--被災者への対応だけでなく、全国から支援が押し寄せます
片岡 私の責任で要望を明確にしました。必要な支援物資は、テレビやツイッターなどで、水、毛布、ペットフードなど、随時必要なものを呼び掛けました。自治体の支援には「避難所管理」と「罹災(りさい)証明の発行」をお任せし、ボランティアの方々はすべて受け入れ、「泥かき」「物資搬入」「避難所運営」「簡易トイレ設置」をお願いしました。
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January 24, 2020 at 02:00PM
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