2018年7月の西日本豪雨の被災者が多く避難した岡山県倉敷市中心部。住み慣れた街から離れて孤立していた避難者を支えた居酒屋が、9月に総菜店として生まれ変わった。店のオーナーで、発災直後から被災者支援を続けてきた山下きくみさんは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、店を閉めることも考えたが「明かりをともし続けないといけない」と、業態を変えて新たなスタートを切った。
コロナ機に転換「新たな交流、発信の場に」
約20年前から倉敷市内で二つの居酒屋を営んできた山下さんは、西日本豪雨の直後から真備町地区に入り、物資の配布など被災者支援を行ってきた。被災者らとともにボランティアグループ「まびHouse」を発足させ、19年末まで自身が営む居酒屋で月2回、被災者同士の交流会を開いてきた。
これまでの被災者支援の活動や、関わった被災者らの経験を伝えていこうと準備していたところ、コロナ禍で居酒屋の売り上げは7~8割減少し、東京の飲食店に卸していた魚もほとんど売れなくなった。一時は営んでいた2店舗とも閉めることも考えたが、被災者の「この店に支えられた」という言葉や、活動を終えても来店してくれる姿を思い、1店舗を閉店し、残りの1店舗を総菜店に転換すると決めた。
再出発することを関わった被災者に伝えると、すぐに力を貸してくれた。内装や看板などを、支援してきた被災した業者やその知り合いが低価格・短期間で工事。9月中旬に総菜店「kitchen 森のくまさん」としてオープンした。
山下さんは現在、クラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/327303)でイートイン部分の改装費用を募っている。山下さんは「これまでのように立ち寄った人が気持ちを和らげられるような場所であり、ここから被災の記憶や支援活動のあゆみを発信できるような場所にしていきたい」と意気込み、「苦しい時に助けあって……。順繰りなのかな」。コロナ禍を乗り越えた後には、講演などで西日本豪雨の経験を多くの人に伝えていきたいという。【戸田紗友莉】
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November 05, 2020 at 09:32AM
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西日本豪雨:明かりともし続ける 豪雨被災者支えた居酒屋、総菜店として再出発 岡山・倉敷 - 毎日新聞 - 毎日新聞
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