7月豪雨から半年になるのを受け、熊本日日新聞社は今月中旬、甚大な被害に見舞われた人吉市、八代市坂本町、球磨村と、川辺川ダム建設予定地の相良村の被災世帯、水没予定地の五木村の住民を対象に、球磨川の治水対策や復旧・復興に関する意識調査を実施した。川辺川ダムに代わる治水専用の流水型(穴あき)ダムの推進を表明した蒲島郁夫知事の判断に対しては「支持する」「支持しない」がほぼ同数で、新たなダムへの賛否が真っ二つに分かれる形となった。
望む治水対策は宅地のかさ上げなど身近な事業を求める意見が目立ち、ダム建設を上回った。
蒲島知事の判断を「支持する」は128世帯(23・7%)、「どちらかと言えば支持する」は98世帯(18・1%)で、合わせると計226世帯(41・8%)だった。
一方、「支持しない」は127世帯(23・5%)、「どちらかと言えば支持しない」は69世帯(12・8%)で、計196世帯(36・3%)。「分からない・無回答」は118世帯(21・9%)だった。
支持と答えた226世帯に理由を聞くと、「流水型なら清流が守られる」「ダム建設に反対だったが、7月豪雨で必要と思うようになった」がそれぞれ56世帯(24・8%)でトップ。「7月豪雨前からダムが必要と思っていた」は46世帯(20・4%)だった。
支持しない196世帯の理由は「ダムの効果に疑問がある」が72世帯(36・7%)で最多。「洪水時に実施する可能性がある緊急放流に不安がある」が42世帯(21・4%)、「ダムで清流が失われる」41世帯(20・9%)と続いた。
望む治水対策(複数回答可)は、「宅地かさ上げ・高台移転」30・7%が最多。「ダム建設」は12・7%で、「遊水地整備」の5・2%に次いで少なかった。
一方、行政に取り組んでほしい施策は「生活や事業の再建」が286世帯(53・0%)と半数を超え、以下「治水対策」「インフラの復旧」と続いた。
県が10月から計30回実施した流域住民らの意見聴取を踏まえ、「民意の把握」を尋ねた質問では、「十分ではない」が132世帯(24・4%)で最も多かった。「十分だ」は61世帯(11・3%)にとどまった。
流水型ダムを巡る住民投票の是非については「実施すべきだ」が217世帯(40・2%)に達し、「実施すべきではない」の77世帯(14・3%)を大きく上回った。(野方信助)
◆調査方法 11~20日、球磨川流域2市3村の計798世帯に訪問による対面調査を実施し、540世帯から回答を得た。人吉市、八代市坂本町、球磨村、相良村は仮設住宅と避難所の全世帯が対象。五木村については避難所などがないため、NTT電話帳から無作為で抽出した世帯を対面で調査した。
※調査の詳報は12月29日朝刊に掲載します。
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