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Saturday, January 2, 2021

<歩む・震災10年>(中)被災者包む、支援の風 東北を見守る足利の活動家・鈴木光尚(みつなお)さん - 東京新聞

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東日本大震災でともに闘ったボランティア仲間と談笑する鈴木さん(中央)=栃木県足利市で

東日本大震災でともに闘ったボランティア仲間と談笑する鈴木さん(中央)=栃木県足利市で

 「東日本大震災の発生当時、復興に十年はかかると予想した。だが、十年がたつ今も、道半ば」−。

 震災発生当日に復興支援団体「『がんばろう東北!』応援プロジェクト足利風(ふう)」を立ち上げた栃木県足利市のボランティア活動家、鈴木光尚(みつなお)さん(73)。岩手、宮城、福島各県の復興に向け、今も途切れることなく、きめ細かな人的・物的支援を続ける。だが、月日がたち、新たな災害も相次ぐ今、東北の被災地への関心が薄れつつある状況に心を痛めている。

 あの日のことを昨日のように思い出す。二〇一一年三月十一日午後二時四十六分。大きな揺れが収まった直後だった。宮城県南三陸町とつながりがある知人に電話をかけた。「現地では何を必要としているのか、自分たちには何ができるのか」を聞いた。

 足利市を拠点にする活動母体の「足利風」をその日のうちに立ち上げ、人脈を駆使して支援チームを結成した。集まったのは約二百人。若手を実動部隊に、高齢者や女性を後方支援に、それぞれ振り分け、被災地に向けて毛布や衣類、暖房器具のピストン輸送を始めた。国や自治体の手が届かない支援に先回りするフットワークの軽さがチームの強み。その活動は、避難生活を余儀なくされた多くの人々に喜ばれた。

 スタートは大学時代、半世紀に及ぶボランティア人生だ。一九九五年の阪神大震災、二〇一六年の熊本地震など、大きな災害はほとんど現地に入った。東北の往復も百五十回を超えた。

 ボランティア活動を始めた当初、簡易宿泊所の集まる東京・山谷地域で炊き出しを手伝っていた。当時、来日中のマザー・テレサと面会する機会に恵まれた。彼女が語った言葉「愛の反対は無関心」が心に深く刻まれている。

 近年の相次ぐ天災や新型コロナウイルスの感染拡大で、東日本大震災を振り返る機会も減ってきた。自分たちに今、東北の被災地のために何ができるか、と自問を続ける鈴木さんは、こう言う。「3・11を忘れず、被災地を見守り、気持ちだけでも被災者に寄り添い続ける。それだけでも意味がある」

 今年も、自身がセンター長を務める足利市民活動センター(相生町)で、東北の現状を報告する企画展を三月八〜十一日に開催する。企画タイトルは毎年同じだ。「風化させないために」 (梅村武史)

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