昨年7月の豪雨で被災した熊本県人吉市上薩摩瀬町にボランティア団体が設置した仮設の公民館が、住民同士や支援者との交流の場になっている。これから地域の課題となるのは、コミュニティーの再生。団体は「そのための足場にしたい」と考えている。
ボランティア団体は、地元の建築士らが立ち上げた支援団体・アーキレスキュー人吉球磨。1月、浸水した公民館があった場所の近くに職業柄、身に付けた技術を生かしてプレハブ平屋の仮設公民館を建てた。
「支援団体の現地拠点を設置していく中、公民館が使えずに困っているという声を聞いた。支援者と住民、両方の拠点にしようと仮設公民館を思い付いた」と団体代表の上村清敏さん(57)=人吉市上青井町。市内のほかの公民館では修繕を手掛けている。
設置後は団体のメンバーが常駐してカフェを開き、コーヒーなどを無料で提供。新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き始めた3月からは、集まって談笑するお年寄りらが増えたという。
健康体操の手ほどきなどをする市社会福祉協議会のデイ・サロンや町内の集会にも使われ、近所の村口主和来[ちから]さん(82)は「公民館は住民の心のよりどころだった。また集まれる場所ができて前向きになる人も多い」と歓迎する。
建設型の仮設住宅には集会所があり、支援団体も交流イベントなどを開きやすい。一方で、公民館や集会所が被災した地域は拠点がないため、自宅での生活を続ける在宅被災者らに支援の手が届きにくくなる。人吉市によると、昨年7月の豪雨で市内27カ所の公民館が被災。このうち復旧したのは、6カ所にとどまっている。
災害発生から、4日で9カ月。自らも被災しながら、ほかの被災家屋の片付けや住まい再建の相談対応を続ける上村さんは「仮設への入居が一段落し、自宅の再建や家計の問題、地域の再生にこれから向き合う被災者は多い」と指摘する。
上村さんらは、上薩摩瀬町の仮設公民館で被災者や支援者が交わすさまざまな会話を困り事の把握や支援につなげたい考え。「被災者支援と聞くと遠慮する人も多い。まずは気軽に立ち寄ってお茶を飲んだり雑談したり、自由に使ってほしい」と呼び掛けている。(堀江利雅)
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