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Friday, April 16, 2021

熊本地震から5年 生活再建へ息長い被災者支援を - 愛媛新聞

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社説

熊本地震から5年 生活再建へ息長い被災者支援を

2021年4月17日(土)(愛媛新聞)

 災害関連死の221人を含む計276人が犠牲となった2016年4月の熊本地震から5年を迎えた。熊本城の天守閣が修復されたほか、国道57号も開通し、崩落した阿蘇大橋も架け替えが終わるなどインフラ整備が進んだが、熊本では今なお418人(3月末現在)が仮設住宅で暮らしている。

 仮設住宅の解消見通しは27年度ごろと遠い。災害公営住宅では、50代女性と70代男性の孤独死が確認されるなどしている。地震前とは住む場所が別のために友達らと別れてしまった人もおり、民間団体が被災者の家に通って悩みを聞いてきたが、ほとんどの市や町で活動が終わった。行政は被災者を地域社会から孤立させることなく、息長く支援しなければならない。

 熊本県によると、仮設入居は最大2万世帯を超えたが、今年3月末時点では99%減の150世帯。益城町では住宅再建予定地で区画整理事業が進行中だ。約7割に当たる100世帯はこうした公共事業終了後、仮設を出ることになっており、残る50世帯も住宅を確保できれば、引っ越すことになるという。

 復興が進んだことから、被災者の生活を支えてきた「地域支え合いセンター」を閉鎖した嘉島町では、高齢被災者の孤立を防ごうと、民生委員や相談員らによる見守りを続けている。蒲島郁夫知事は県庁で開かれた追悼式で「最後の一人まで支援を続ける」と明言しており、他地域でも同様の取り組みができるよう財政面などを支援する必要がある。

 熊本地震は、16年4月14日の夜に前震が、2日後の16日未明に本震が襲っており、日本で初めて最大震度7を2回観測した点が特徴。震度5弱以上が頻発し、その後1年の間に有感地震が4千回を超えた。建物倒壊などで命を落とした直接死は、前震が9人、本震が計50人に拡大した。もう一つの特徴が、苦しい避難生活による心と体の疲れや、病気の悪化が原因となった災害関連死の多さだった。

 2夜連続の激しい揺れへの恐怖から車中泊を選択した人も多くいた。狭い車内で長時間過ごしたため、エコノミークラス症候群を発症する人も続出。行政はできるだけ被災者が車中泊をせずに済むよう備えが必要で、さらに車中泊を余儀なくされた車が十分に駐車できる避難所の整備も急務だ。

 最大震度7を2回記録した益城町は、熊本地震から5年を機に、大地震を経験した県内外の自治体の首長を招いて復興の課題や被災時の対応に関するパネルディスカッションを開いた。参加者は、自治体の相互支援の重要性を指摘したほか「災害が起きたとき、自分に置き換えて考えてほしい」と訴えている。

 今後30年以内に70~80%の確率で起きるとされる南海トラフ巨大地震。「大きな地震は1度とは限らない―」。人々の言葉をかみしめ、被災地の教訓を生かさねばならない。

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