賢い被災者になって 生活再建支援制度の講座
多様な分野の女性が集まり、地域課題の解決に取り組む和歌山イコール会議主催の「第7回防災セミナーin和歌山」が27日、和歌山ビッグ愛(和歌山市手平)で開かれ、参加者は被災後のさまざまな生活再建支援制度などについて学んだ。コロナ禍での開催ということもあり、オンライン参加者が多くを占めた。
セミナーの冒頭で、同会議の松原敏美代表が「被災後の生活に必要な法律や制度について学び、災害に備えるための時間を共有しましょう」と呼び掛け、スタート。二部制で、弁護士の永野海さんによる「生活再建カードから学ぶ被災後の支援制度のあれこれ」をテーマにしたオンライン講演から始まった。
永野さんは、東日本大震災で自宅が半壊した仙台市の被災者が、貯金を使っても直らなかった家に住み続け、過労や人間関係の悩みでうつ病を発症したという話を聞き、被災者に生活再建支援制度の知識があれば、多くの選択肢からより幸せな道を進めたのではないかとの思いで2019年、「被災者生活再建カード」を考案した。
同カードは、支援制度を活用しながら住宅再建をゲームで体験することで、どの支援でどのくらいの金額を得ながら住宅再建していくかを見える化できるもの。半壊住宅を解体し建て替える場合には、全壊とみなされて生活再建支援制度で最大300万円が支給される他、被災ローン減免制度を利用すると自然災害によって払えなくなった個人のローンが、預貯金500万円を手元に残したままゼロから再出発できるなど、さまざまな制度をより身近に学べる。
永野さんは、「これしか選択肢がないと思って選んだ道と、たくさん知った上で選択した道が、結果的に同じであっても納得感が違う」と話し、「カードゲームで自分にとってどの道が幸せなのかを考えた経験は必ず役に立つ。賢い被災者になって」と伝えた。
その後、同会議防災部会長の市場美佐子さんが、災害時の必需品ともなる「マイ・トイレ」の作り方を紹介。市場さんが考案したトイレは、新聞紙やレジ袋など一般家庭にある材料を活用し簡単に作れ、洋式トイレにも対応できる。市場さんは「これから台風や豪雨の多い季節になってくるので、しっかりと対策を」と呼び掛け、「毎日の暮らしの中に災害への備えを取り入れることが大切」と伝えた。
参加した有田市の綛田博美さん(71)は「災害の被害に遭ったことはないけれど、制度を知っているのと知らないのとではこんなに差があるのかと驚いた。とっさの判断が役立つはず」と話していた。
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