５月に熊本県内を巡ったオリンピックの聖火が国立競技場の聖火台に点火され、２３日、東京五輪が開幕した。２０１６年の熊本地震の被災者らは「元気を届けてほしい」と選手たちにエールを送る一方、「『復興五輪』であることを忘れないで」との声も上がった。 益城町で聖火ランナーを務めた自営業、田崎眞一さん（５９）は「聖火が無事に到着して良かった」と笑顔。「開会式はいろんな意味で注目されたが、選手を応援する気持ちは変わらない。たくさんの感動をもらいたい」と期待を込めた。 今大会は当初、東日本大震災などの災害からの復興を世界に伝える「復興五輪」の色が濃かったが、新型コロナウイルス感染拡大で、中止や再延期を求める声が相次いだ。開幕直前になっても大会関係者の辞任が相次ぎ、復興の話題はかすんでしまった。 熊本地震で被災した西原村の会社員、加藤みな子さん（６１）は「ごたごた続きで被災地がクローズアップされなかったのは残念」としつつ、「気持ちが沈む今こそ、日本を明るくする大会にしてほしい」と願った。
全壊した自宅を再建した益城町の農業、宮崎誠さん（４２）は「選手の移動も制限された。被災地の元気を見てほしかったが仕方がない」との受け止め。しかし「五輪は特別な祭典。コロナ禍での選手たちの頑張りは励みになる」とテレビで日本勢を応援する。 被災地で計画されていたパブリックビューイングも中止に。蒲島郁夫知事は「寂しさはあるが、安全な五輪という視点も大切だ」と指摘。「自国開催なので参加意識を持って楽しんでほしい」と、自宅でのテレビ観戦を呼び掛けた。（臼杵大介、立石真一、潮崎知博）
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