昨夏の豪雨被災者らの運動不足解消やストレス緩和に向け、人吉・球磨地域のインストラクターらでつくるボランティア団体「よかよかスマイルクラブ」が仮設住宅や地域の公民館で運動支援を続けている。活動のスタートから10月で1年。代表の簑田由希子さん(46)は「これからも生活の根幹にある健康づくりを支えたい」と話す。(前田敏宏)
「上半身が5歳は若返ります」。今月3日、人吉市の公民館で、インストラクターの言葉に被災者らが頬を緩め、美しい姿勢を目指すストレッチに取り組んだ。
同市中神町の自宅が全壊し、仮設住宅で暮らす榊愛子さん(76)は「被災後は運動や交流の機会が少なくなった。体がすっきりし、いい気分転換になる」と笑顔を見せた。
クラブは人吉・球磨地域の筋トレやヨガ、整体法などの指導者らで構成する。昨年10月、人吉市内の避難所で初の運動教室を開催して以来、毎月10回程度、人吉市や球磨村など4市町村で簡単な運動の場の提供を続けている。
クラブ設立は、豪雨後に、救援物資の配布に当たっていた本願寺人吉別院の僧侶平塚真邦さん(33)が、避難生活で体を動かす機会が減っている被災者の現状に危機感を抱いたことがきっかけだった。
仮暮らしの長期化による運動不足は、エコノミークラス症候群のほか運動機能の低下につながり、災害関連死に至る場合もある。
平塚さんは、被災家屋の清掃ボランティアで出会ったヨガスタジオ経営の簑田さんと危機感を共有。インストラクター仲間に呼び掛けてもらい、有志13人でクラブを結成した。
指導する内容は、姿勢を正すストレッチや血流を上げて体調を改善する体操、簡単な筋トレなどさまざま。誰でも負荷を感じずに楽しめるよう工夫している。
課題は、家に籠もりがちになっている住民にも参加してもらうこと。活動を広く知ってもらい、開催場所を増やすことを目標に「よかよかスマイルクラブ通信」を各仮設団地などに配布しているほか、「親子ヨガ」も開催し、子育て世代にも浸透を図っている。
活動は、事業者や団体、個人から寄せられる浄財に支えられており、運営責任者の平塚さんは「協力いただいている思いを背負い、できる限り住民に寄り添い続けたい」と話す。
簑田さんも「住み慣れた地域から離れた場所で暮らす被災者も多く、失われがちな住民の交流の場にもなっている。被災者が日常を取り戻すまで息長く活動を続けたい」と意気込む。
活動日など問い合わせはクラブ(090・5935・5612)へ。
からの記事と詳細 ( 豪雨被災者運動で支援 人吉・球磨のインストラクターら - 読売新聞 )
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