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Friday, April 8, 2022

原発事故避難者の医療支援終了へ 首長ら一定評価、懸念も - 朝日新聞デジタル

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 東京電力福島第一原発事故の避難地域の住民に対する医療費などの減免措置が2023年度から段階的に廃止され、早い地域では24年度末で終了することが8日、決まった。「他の被災者との公平性の確保」(政府)が目的で、対象自治体の首長らは一定の理解や評価を示す一方、分断や格差への懸念を示した。

 対象は事故後、17年4月までに避難指示が解除された11市町村。19年4月以降に解除された地域や今後解除が予定されている地域についても、指示解除から10年をめどに措置を終了する方針。帰還困難区域の扱いは今後、検討する。

 今回の決定で解除時期が最も早い広野町や楢葉町の一部などでは、23年度から支援が減る。ただし、住民の急激な負担増につながらないよう、まずは保険料の減免額を半額に縮小し、その後、保険料の減免終了、窓口負担の免除終了と、三つの段階を設けた。

 政府は事故後、福島県の13市町村の約15万人(11年8月時点)に避難指示などを出し、避難者には医療・介護にかかる保険料や窓口での自己負担分の全額または一部を免除してきた。

 南相馬市は復興庁に対して、医療費などの免除が縮小・終了する場合、激変緩和の措置や十分な周知期間の確保を求めてきた。門馬和夫市長は市の要望の反映について「一定程度踏まえられた」と評価した。その上で「原発事故の影響で縮小した医療体制は十分に回復していない。高齢化や現役世代の大幅な減少に伴う介護人材の不足も顕著になりつつある。国には必要な対策を実施していただきたい」などとするコメントを発表した。

 富岡町の担当者は減免措置見直しについて、「町民の公平感が損なわれないよう国に求めてきた。他町村も含めた全体のなかで見れば、解除時期が異なるのに町内一律で支援廃止となるよりは不公平さがなく、実情を踏まえた案と受け止める」と話した。国民健康保険の被保険者ベースで、今回の支援廃止対象者は約3千人、継続対象者は約1千人いるという。

 2025年には一部地域で減免措置が終わる川内村の遠藤雄幸村長は取材に「要望していた激変緩和の措置がとられたことは評価したい。10年という期間が示されたことは住民にとっても説得力がある」と、政府の決定に理解を示した。

 ただ、村全域で終了時期を統一してほしいとの要望がかなわず、村の中で「差」が生まれることになったことについては「住民間でしこりのような、複雑な感情も残ると思う」と述べた。さらに「従前の状態に戻るとはいえ、保険料に関しては、かなりの負担が生じる。低所得者への配慮が必要だ」と訴えた。(笠井哲也、大月規義、西堀岳路)

     ◇

 復興庁が支援の終了を避難指示の解除から「10年」と決めた理由は、南相馬市や広野町などの20~30キロ圏(旧緊急時避難準備区域)に、足並みをそろえるためだ。政府は同圏内の避難指示が解除されても、医療・介護保険料の無料措置について、終了の見通しを示さず10年余り放置してきた。

 無料化の見直しが23年度から始まることで、収束しかけていた「分断」の問題が再燃しかねない地域が出てくる。

 人口約5万人の南相馬市は原発事故の直後、第一原発から20キロ圏(旧警戒区域)、20~30キロ圏、避難指示が出ない地域に分かれた。3地域で東京電力の損害賠償に大きな差が生じ、市内は混乱が続いた。

 医療費や介護保険料の免除は11年間、30キロ内の旧2区域に適用されていた。「医療費くらいは市内で一律にできないか」。そんな市議会や地域から要望がしょっちゅう上がっていた。市は自主財源で、避難指示が出ない地域での支援格差の緩和も図ってきた。

 制度見直しについて市の担当者は「また3地域で格差が生じることも考えられ、住民に理解してもらえるか悩ましいところです」と話す。

 ただ、国が無計画に支援を長く続けたことで、制度終了に対する住民の反発は「これまでの賠償の打ち切り時などに比べると、それほど大きくない」(ある被災自治の体担当者)という面もある。昨年秋、医療費無料の制度が縮小されるとの報道があった際も、この自治体への住民の問い合わせは、ほとんどなかったという。

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