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Monday, January 16, 2023

「災害援護金」返済免除198億円 総額の14% 死亡や困窮で - 毎日新聞

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阪神大震災の犠牲者を悼み竹灯籠に火をつける人たち=神戸市中央区の東遊園地で2023年1月17日午前5時43分、大西岳彦撮影 拡大
阪神大震災の犠牲者を悼み竹灯籠に火をつける人たち=神戸市中央区の東遊園地で2023年1月17日午前5時43分、大西岳彦撮影

 阪神大震災で被災した世帯に計約1326億円が貸し付けられた「災害援護資金」で、死亡や生活困窮などを理由にした返済免除総額が約198億円に上る見通しになった。貸付総額の14・9%、世帯数で2割にあたる約1万2000世帯だ。約525億円が貸し付けられた東日本大震災(2011年)でも4割の世帯が滞納しており、早急な免除を求める声も上がる。被災者の生活再建をどう支えるか、その制度のあり方が問われている。

 災害援護資金は被災市町村が国などから原資を借り、世帯主の負傷▽家財の損害▽住居の全半壊――で最大350万円を貸し付ける。4人世帯で730万円以下など所得制限もあるが、1998年に被災者生活再建支援法ができる前は当座の資金を得る主要な制度だった。兵庫県内13市で5万6422世帯約1309億円、大阪府内8市で1026世帯約17億円が貸し付けられた。

 毎日新聞の集計で、既に免除が決まっているのは兵庫県内で1万1747世帯約192億円、大阪府内で83世帯約9400万円。さらに兵庫県内で未返済となっている約500世帯の約5億6000万円を免除する方向で県と各市が調整に入っている。大阪市も残る約1600万円について検討に入るとみられる。

 免除は当初、死亡や重度障害のみに認められ、毎日新聞の調査では兵庫県内13市では19年時点で約3300世帯62億円が死亡や重度障害による免除だった。

 国は18年以降、10年間の返済期間からさらに10年経過した時点で、生活保護を受けたり自己破産したりした世帯、住民税などを引いた年間所得が150万円未満などの条件を満たす低所得世帯に免除を拡大。神戸市は21年、それ以外の低所得者や行方不明者など10億円の免除を独自に決めた。被災者の高齢化に加え、督促などの債権管理費用が累計45億円と重くのしかかったことが理由だった。

 東日本大震災では、21年9月時点で支払い期日が来ている世帯の36・7%にあたる1万99世帯が滞納している(内閣府調べ)。特例で返済期間は13年に延ばされている一方、免除は死亡や重度障害、自己破産でしか認められていない。

 生活困窮世帯は返済猶予だけで、仙台弁護士会は生活再建できずにいる被災者の負担と被災自治体の債権管理費用を軽減するため、即時の免除を求めている。

 仙台弁護士会で被災者支援にあたる宇都彰浩弁護士によると、援護資金は地方での生活に欠かせない車や家財道具などに充てられていた。被災者生活再建支援金は住宅損壊が条件だが、援護資金は特例で津波で流された自動車も家財とみなされ借りることができ、支援対象を広げられる側面があった。「そもそも災害時の給付型の支援制度はまだ不十分だ」と指摘する。

 阪神大震災から28年。被災地で最後まで残っていた神戸市長田区の復興市街地再開発事業は24年度で完了する見通しで、神戸・三宮では新たな再開発も本格化している。一方で、兵庫県内の復興住宅225棟で65歳以上の高齢者の割合は22年11月時点で54・6%。一般の県営住宅を11・9ポイント上回り、1人暮らしの高齢世帯の割合も半分を超える。被災者以外の入居者も増える中、孤独を癒やすコミュニティーづくりは大きな課題だ。兵庫県の震災関連県債は21年度決算で2498億円が残り、財政健全化も道半ばだ。【井上元宏】

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