熱海市伊豆山で2021年7月に発生した大規模土石流を巡り、遺族や被災者が土石流起点の現旧土地所有者や県、熱海市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが13日、静岡地裁沼津支部であり、原告の一部が新たな弁護団を選任したことを明らかにした。新弁護団は終了後に記者会見し、従来の弁護団の主張を補充する形で追加提訴する意向を示し、真相究明に力点を置いた主張を展開していくと説明した。従来の弁護団は一部の原告以外の代理人を引き続き務める。
新弁護団によると、原告のうち10人が、公害訴訟の経験のある弁護士7人で構成する新弁護団に代理人を交代した。これまで現旧土地所有者だけを相手取っていた原告の場合は行政機関を被告に追加するなどして、新たな訴状を提出する方針。
追加提訴は発災3年を迎える来年7月までに予定している。内容は今後詰めるが、開発業者を規制する権限のあった県や市の検証結果以外の事実関係も独自に調べる。盛り土上流側の集水域については表流水や違法開発の影響も考慮し、被告側の法的責任を明確化するという。従来の弁護団を代理人とする他の原告とも連携していく。
新弁護団の池田直樹弁護士は「(これまでの裁判では)早期和解、早期解決を掲げる中で真相究明を行政の報告書にそのまま頼り、独自の検証がされていないと原告の一部は感じている。これまでの原告や弁護団を補充してバックアップする形で活動していく」と説明し、裁判の透明性確保も求めていくとした。
この日の弁論準備手続きでは従来の原告弁護団から崩落盛り土に関する詳細な主張が示された。来年7月10日に口頭弁論を初めて公開で開くことも決まった。
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