東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の解除を進めるために新設された「特定帰還居住区域」。導入から1年が経過するが区域の設定は限定的で、我が家に戻りたい人たちは長期化に焦りを募らせている。【尾崎修二、安藤いく子】
国は原則、除染しない方針
帰還困難区域にある山林の取り扱いは、大きな課題として残っている。通常の除染では地表の落ち葉を取り除くなどして放射線量を下げるが、斜面では土砂流出のリスクがあるため、表土の除去や大規模な伐採は難しい。環境省は2015年末、住宅や道路など生活圏から近い範囲や日常的に人が出入りする場所を除き、山林は原則除染しない方針を決めている。
福島県南相馬市は、24平方キロの帰還困難区域を抱える。24年度中に対象が1世帯分の特定帰還居住区域案をまとめる予定だが、多くの山林は区域外として残る。門馬和夫市長は「まちづくりを進めるうえでも、市内の帰還困難区域は全部なくなってほしい。林野庁には『国有林の所有者として(除染が無理でも)まずは保全管理などの対策をしてほしい』と申し入れた」と話す。帰還困難区域の国有林は163平方キロに及ぶが、林野庁は間伐などの保全管理をしてこなかった。
先送りされてきた議論
地元の要望を受け、政府は今年3月、復興基本方針の一部を見直し、山林での伐採作業などについて「関係者と調整を進める」と初めて明記した。復興庁の担当者は「重…
からの記事と詳細 ( 議論も保全も放置される山林 原発被災地の帰還困難区域 - 毎日新聞 )
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