2016年の熊本地震で、熊本県内最大規模の516戸が整備された益城町の「テクノ仮設団地」に出店し、入居者の暮らしを支えたイオン九州の小型スーパーが6日午後6時、営業を終えた。災害公営住宅の完成などに伴い入居者が減ったことが理由で、元入居者らも感謝を伝えようと次々と駆けつけた。

元入居者の吉村静代さん(70)は閉店に先立ち、谷英一店長(62)に花束を手渡し「ここしか頼れない人が多くいた。寂しい」と惜しんだ。谷店長は「復興が進んだことはうれしく思うが、まだ団地で暮らす住民を残して閉店するのは後ろ髪を引かれる思いだ」と複雑な心境を述べた。

益城町やイオン九州によると、団地には一時約1300人が暮らしたが、周辺には商店やスーパーがなく、県や町が小型スーパーを誘致した。東日本大震災時の経験を生かし、16年9月、プレハブ建て約200平方メートルの店舗としてオープン。団地の入居者もパート従業員などとして勤務した。

団地には今年5月末時点で41戸119人が暮らし、今後は別の会社が移動販売をする。7月以降は一部が別の仮設団地に集約され、9月に閉鎖する。(共同)