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Monday, June 7, 2021

仮住まい用に小型の仏壇や盆ちょうちん…仏具店が九州豪雨被災者に無償提供 - 読売新聞

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 昨年7月の九州豪雨で自宅が浸水した被災者らのため、熊本市西区の仏具店主、永田幸喜さん(59)が、仮住まいに合う小型の仏壇や盆ちょうちんを無償で届け続けている。製造元が価格を抑えて提供してくれ、私費のほか、全国からの寄付金を充て、これまでに仏壇だけで約230基を贈った。「人の情けに泣きました 頑張ります」などと感謝の声が寄せられている。(貞末ヒトミ)

 5月20日、永田さんは車を運転し、熊本県八代市を訪れた。待っていた村本厚博さん(70)は盆ちょうちんを受け取り、「雨ですべて失った。こぎゃん立派なものを本当にありがたか」と感激していた。

 豪雨時、村本さんは氾濫した球磨川から約500メートル離れた同市坂本町に夫婦で住んでいた。自宅の2階部分まで水が押し寄せて全壊。現在は市中心部にあるみなし仮設住宅に入居している。市シルバー人材センターを通じて無償提供のことを知り、「お盆にちょうちんを飾って先祖を迎えたい」と希望した。

 永田さんがこの取り組みを始めたのは、豪雨の翌月だった。泥だらけになった仏壇の廃棄や修理を依頼され、落ち込む被災者らを目の当たりにし、「今こそ動かんば」と決意した。5年前の熊本地震では、長引く避難生活で体調を崩して亡くなる高齢者もいた。「お仏壇があれば、心の痛みが和らいだかもしれない。何もできず、ずっと後悔していた」と振り返る。

 仏壇はきり製で、高さ34センチ、幅19センチ、奥行き19センチ。ろうそく立てなども付いている。本来の定価は約5万円だが、静岡県の製造元に事情を説明したところ、半額ほどに抑えてくれた。無償提供の話は口コミで広がり、私費で用意した100基は約1か月でなくなった。ほかにも希望者がいたため、クラウドファンディングを実施。これまでに全国の延べ160人余りから計約310万円が寄せられた。

 盆ちょうちんを届け始めたのは今年5月から。岐阜県の製造元の協力を得て半額ほどで仕入れ、約30個を贈った。受け取ったお礼のはがき、手紙は約90通に上る。<無表情だった母が笑顔を見せてくれた><小さな仏壇の中に、人の心のやさしさ、思いやりがずっしりとつまっており、抱きしめて泣きました><頑張ります 有りがとう 有りがとう>

 永田さんは「支援の輪が広がり、被災された方々の希望になっている」と感謝する。「少しでも平穏な時間を取り戻せるよう力になりたい」と、熊本県に限らず、九州豪雨で被災した希望者と寄付金を8月まで募っている。問い合わせは輪島漆器仏壇店(096・329・0224)まで。

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