静岡県熱海市で大雨による大規模な土石流が発生し、複数の住宅が流された。住民が巻き込まれて、安否を確認できない人が多数出ている。
政府や自治体は、捜索活動に全力を尽くすとともに、被害の全容把握に努めねばならない。
菅首相は、緊急の関係閣僚会議で、「人命第一で応急対策に全力を挙げてほしい」と述べた。静岡県は自衛隊に出動を要請した。土石流は海まで達したとみられている。流された住民を一刻も早く発見してほしい。
現地では、土石流が再び発生する恐れもあり、避難場所に身を寄せた住民も多い。避難者の支援にも力を注いでもらいたい。
熱海は日本有数の観光地として知られる。山の斜面に多くの住宅が建てられており、静岡県は土砂災害の警戒区域に指定し、ハザードマップにも記載されている。現場近くでは、過去にも大雨による土砂災害が起きているという。
熱海市は土石流の発生当時、危険度が最も高い警戒レベル5の「緊急安全確保」や、これに続く「避難指示」ではなく、警戒レベル3の「高齢者等避難」という避難情報の発令にとどめていた。
突然発生する土砂災害は、予測が難しい。とはいえ、雨量や特有の地形を踏まえた場合、市の避難情報は適切だったのか。しっかりと検証することが重要だ。
梅雨前線の影響で、熱海市以外でも、関東や東海地方の太平洋側は記録的な大雨となった。静岡県内では、観測史上最多の24時間雨量を記録した地域もある。
気象庁によると、今後も雨が降りやすい状況が続くという。各地で、大雨による災害への警戒を強める必要がある。
球磨川の氾濫などで81人の死者・行方不明者を出した九州豪雨から、4日で1年になる。約300人が犠牲になり、平成最悪の水害となった西日本豪雨も、3年前のこの時期に起きた。
九州豪雨も西日本豪雨も、同じ場所に長時間、大雨を降らせる「線状降水帯」が被害を拡大させた。近年は、地球温暖化の影響で、線状降水帯による豪雨災害が毎年のように起きている。
気象庁は、住民に早めの警戒を促すため、線状降水帯の発生について情報発信を始めた。
命を守るためには、一人ひとりがこうした気象情報や、自治体が発令する避難情報に注意を払うことが大切だ。過去の災害から得た教訓を生かして、早めの避難行動を心がけたい。
からの記事と詳細 ( 熱海で土石流 被災者の捜索に全力を尽くせ - 読売新聞 )
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