「これはいい。多くの情報が簡単に共有できる。文書では数が限られるし、管理も大変…」。9月中旬、大町町社会福祉協議会が運営するボランティアセンターに応援に来ていた県内の社協の職員が、被災者支援の各種情報が入ったタブレット端末を片手に感心した。センターの新たな運営を模索する県社協まちづくり課の小松美佳係長は「これが一番の現場実習。今後の財産になる」と効果の広がりを実感していた。
各種災害で支援活動の受け皿になるボランティアセンター。今年8月の大雨被害と2年前の佐賀豪雨の時では、運営方法が大きく変わった。
最も大きな変化は、県内被災地へのボランティアの受け付けを県社協が一手に引き受けたことだ。ウェブ上で事前登録できるアプリを用意。ボランティアは住所、氏名のほか、活動可能な日や場所(佐賀市、武雄市、大町町)などを事前登録した。電話やセンターへの直接の来訪もこのシステムに導いて管理した。
2年前はセンターで当日受け付け、派遣先を決める形がほとんど。数百人が詰めかけた現場は当初、混乱した。大町町社協の担当者は「2年前は派遣先に振り分けるのに追われた。今回はニーズ調査や被災者の状況をもとに優先順位をつけるなど、かなり効率化できた」と、様変わりした現場の様子を話す。
「新型コロナウイルスを考慮し、100人が並ぶような状況は避けるべきと考えた。だからボランティア参加を県内からに絞り、準備を進めていた事前登録を取り入れた」と小松係長。ボランティア登録の仕組みは民間が考案し、静岡や広島などで導入実績があったアプリを取り入れた。8月大雨の数週間前に研修を受けたばかりで準備が即座に生かせた。
現場の社協は大幅な負担軽減になった。その分を被災者のニーズ調査に割くことができ、派遣する人数や作業内容の調整も機能した。小松係長は「災害対応は被災者のもとに出向いて声を聞くことが大切。その時間を作り出すことはできたと思う」と語る。
運営システムには参加者の事前登録だけでなく、ニーズの内容や対応状況も入力され、共有している。個人情報に留意したうえで、NPOなど専門的な支援活動をする団体と共有して活動充実につなげることもできるという。
ボランティア運営の現場で進むデジタル化。小松係長は「今回応援に来ている各地の社協職員を皮切りに県内社協に広く周知したい」と力を込める。一方で「デジタルに不慣れな人への配慮も必要」とも。「ボランティアの方の自発的な思いを、申し込み方法の複雑さで妨げるようなことになっては元も子もない。コロナが収まればいろんな形を考える必要がある」と話す。(小野靖久)
2019年の佐賀豪雨からわずか2年で、武雄市や大町町が再び深刻な水禍に見舞われました。教訓は生きたのか、さまざまな視点から見つめます。(随時掲載)
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