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Wednesday, November 10, 2021

社説(11/10):不在者投票一部無効/被災者の一票無駄にするな - 河北新報オンライン

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 先月31日に投開票が行われた衆院選で、東京電力福島第1原発事故で被災し、避難先で投じられた不在者投票の一部が各選管への到着が遅れ、開票結果に反映されていなかった。

 選挙は民主主義の根幹と言える。福島県大熊町の選管の担当者が「遠くの避難先からせっかく投じられた一票が無駄になったのはまずい」と困惑したように、一部の有権者の声が国政に届かなかったことは重大な問題をはらむ。国や県は詳しい原因を究明し、今後、同様のケースが生じないよう改善策を早急に策定すべきだろう。

 原発事故で避難している福島県民は現在、県外約2万8000人、県内約6800人に上る。衆院福島5区の浪江町は人口約1万6300のうち、町内在住者は約1700人だけだ。住民票を残したまま町外で暮らす人がほとんどで、特に県外の有権者にとって、不在者投票は一票を投じる大切な手段となっている。

 その浪江町では、33人分の投票用紙が10月31日の投票終了までに町選管に届かず、開票されなかった。投開票翌日の今月1日に31人、2日に2人の投票用紙が郵送で選管に届いたという。浪江町同様のケースは双葉町や大熊町など、同じく原発事故で避難を余儀なくされた自治体の選管でも確認されている。

 町外に住む有権者らの便宜を図る目的で、原発事故で被災した各町は特別に「不在者投票請求書」を同封した「選挙のお知らせ」を郵送している。まず、その到着がいつもより遅れたとみられる。

 富岡町選管は衆院が解散された翌日の10月15日の金曜日に普通郵便で「お知らせ」を郵便局に届けた。町外の有権者の中には20日以降に配達されたケースもあった。催促の連絡もあったという。町選管は、10月から日曜に加え土曜も郵便物を配達しなくなったことが影響したとみている。

 「お知らせ」を受けて不在者投票請求した有権者に対しては、さらに郵便で投票用紙が送付される。有権者は避難先の自治体の選管で投票し、その選管から投票用紙が福島の各選管へと郵送されて来るのだが、不在者投票最終日の10月30日に投票したような場合では、31日に間に合わなかったとみられる。

 各町の選管は「郵便でのやりとりにより、投票までに時間がかかる」「当初の見込みより解散が早まり、投票日までの準備期間が短かったのも響いた」などと説明する。

 今回の衆院選は、解散から投開票までわずか18日間と慌ただしかったとはいえ、あってはならない事態が起きた。有権者は正規の手続きで投票しており、落ち度はない。さらに開票に間に合わなかったことも知らされず、納得できないだろう。原発事故被災者の一票を「無」にしないための対策を、すぐに講じることが必要だ。

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