東日本放送・古城博隆
東日本大震災の被災者のために用意された災害公営(復興)住宅で空き家が目立ち始めた。震災から11年が迫り、復興したはずの地域に押し寄せる人口減と高齢化の波。被災地最多の4456戸を整備した宮城県石巻市は、入居条件を緩和するなどの対策に乗り出している。
牡鹿(おしか)半島・十八成(くぐなり)浜。震災後、海岸から約200メートルの高台には自宅再建を含む31世帯が集団移転した。だが、入居者が亡くなったり高齢者施設に移ったりして、復興住宅24世帯のうちのべ11世帯が退去した。
十八成浜自治会の及川伸太郎会長(72)は「先が見えないですね。年々人口が減ってきている。若い人がいない」と話す。入居者の高齢化率は78%に達した。
空き家を解消しようと、市は生活困窮者に対象を広げて募集を続けたが、8軒が空いたままだった。そこで昨年10月、4軒を社会福祉法人に貸し出し、障害者向けのグループホームとして活用し始めた。
復興住宅で夫と暮らす後藤孝世さん(75)は「いいですよね。やっぱり隣近所に電気がつかないと寂しい」と歓迎する。
さらに今年3月からは、牡鹿、雄勝、北上の3地区にある復興住宅で入居者の収入要件を緩和。「月収15万8千円以下」としている所得基準を「同48万7千円以下」に引き上げる。被災者かどうかに関係なく、移住を希望する現役世代の受け皿として活用を目指す。
こうした復興住宅の活用法だと、被災自治体向けに国が用意した手厚い補助の対象から外れてしまう。それでも、2040年に人口が10万人を切り、震災前の6割にしぼむと予測される市にとっては、待ったなしの対策だ。県内第2の人口を抱える被災地で試行錯誤が始まっている。
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東日本放送(khb)は14日深夜(15日午前)1時41分から、復興住宅の現状を追ったドキュメンタリー番組「テレメンタリー ひとが減るまちで~震災11年の憂い~」を放送予定。(東日本放送・古城博隆)
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