広島で被爆した樹木を使ったバイオリンなどによるチャリティーコンサートが27日、広島県東広島市の東広島芸術ホールで開かれる。東日本大震災被災地を支援する仙台フィルハーモニー管弦楽団第2バイオリン副首席奏者、小川有紀子さんらが企画。小川さんは「多くの方に聴いていただき、平和の尊さを伝えていきたい」と願う。
ハナミズキ音楽事務所が主催、広島大が共催する。
バイオリンは広島大が、爆心地から370メートルにあったシダレヤナギと、死没者埋葬地のエゴノキを伐採、製材したものを部材に使用し、2019年に製作。その後ビオラとチェロも製作された。
楽器の存在を知った小川さんは、多くの人命を奪う戦災と震災に共通点を見いだし、音楽で被災者に寄り添い平和を願うコンサートを企画した。
被爆地広島復興のシンボルとなった花にちなみ、第1回「赤いカンナの花」音楽会と名付けた。
2部構成で、第1部は楽器製作を発案した広島大の嘉陽礼文研究員が講演。第2部では同大大学院教授の高旗健次さん(ビオラ)、同大客員教授の森純子さん(チェロ)が、小川さんと弦楽三重奏を披露する。トリオは同大大学院の学生たちとも共演する。
曲目はコダーイ「弦楽トリオのためのインテルメッツォ」、モーツァルト「きらきら星変奏曲」、ドボルザーク「弦楽五重奏曲第2番」ほか。
小川さんは「朽ちていく被爆樹木が楽器として、平和の大切さを伝える特別な使命を持って生まれ変わった」と、思いを語る。
「赤いカンナの花」音楽会は22年度、東北各地でも開催していく予定。収益金は、ハナミズキ音楽事務所などが設立した「赤いカンナの花基金」に寄付され、震災の被災者を支援するコンサートの費用に充てられる。
午後2時開演。入場料2000円。連絡先はハナミズキ音楽事務所070(2644)6015。
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