阪神・淡路大震災の被災者らが入居する兵庫県内の「災害復興住宅」で、住民に占める65歳以上の高齢化率が過去最高の54・6%(2022年11月末時点)となった。1人暮らしの高齢世帯の割合も51・4%と最高を更新した。高齢化で独居死の増加などが懸念され、見守りを続ける関係者は、孤立を防ぐ取り組みの必要性を指摘する。
県が県内11市の県営と市営の計225棟を調査し、昨年12月にまとめた。01年度の高齢化率は40・5%、1人暮らしの高齢世帯は34・4%で、いずれも右肩上がりで上昇している。
22年11月末の入居者は、被災者以外を含め計2万7348人だった。うち65歳以上は1万4920人で、高齢化率は21年度比で0・3ポイント上昇した。単身高齢世帯は8731を数えた。21年度に50・2%と初めて5割を超え、そこからさらに1・2ポイント増加した。
一般の県営住宅は、高齢化率42・7%、1人暮らしの高齢世帯34・6%で、復興住宅の割合の高さが際立つ。
復興住宅ではボランティアや被災自治体が、高齢居住者向けの催し、見守りに今も取り組む。
毎週お茶会を開く神戸大の学生団体「灘地域活動センター」は、新型コロナウイルス禍で中断した時期もあったが、住民の要望を受けて再開した。
前代表の4年池畑空さん(22)は「高齢者に外出する機会を提供したい。人と話して、つながる場の存在は大切」と話す。
芦屋市の南芦屋浜団地(全814戸)では、25年前に整備された当初から現在まで県内の公営住宅で唯一、24時間体制の見守りを続ける。
高齢者の異変を知らせる設備などがある住宅「シルバーハウジング」(230戸)に住む被災者は10人ほどに減ったが、被災者以外が増えた。
生活援助員(LSA)として長年支える城戸昌子さん(71)は「近況を気にかける人がいることで、暮らしの安心につながる。高齢化社会できめ細やかな見守りの必要性は高まっている」と話している。
【特集ページ】阪神・淡路大震災
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