災害の発生後に、住宅再建をはじめ、健康や精神面、就労、収入など被災者が直面する問題はさまざま。東日本大震災以降、全戸訪問調査などから被災者個々の課題を把握し、寄り添った支援を継続して行うことで生活再建につなげる「災害ケースマネジメント」の必要性が高まっている。昨年9月に発生した台風15号でも、その重要性が浮き彫りになったが、自治体の認識や支援体制の構築は十分とは言えない。
台風15号から約半年の3月中旬。静岡市葵区内牧の高齢女性(86)宅を市地域支え合いセンター職員とボランティアが訪ねた。女性は脳梗塞で半身にまひが残る娘と2人暮らし。床上浸水で、畳を撤去した床板の上に段ボールなどを敷いたまま生活している。半年たってもなお、女性のように修繕が必要な住宅に住み続ける在宅被災者が一定数いる。
自治会未加入者の増加だけでなく、相談窓口に自ら行けない人、支援を求める声を上げられない高齢者など、行政が積極的に被災状況を把握しなければ支援から漏れてしまうためだ。平常時に福祉サービスを受けていても、収入面など新たな問題が浮上したり、介護や生活困窮といった元々抱えている課題が深刻化したりするケースもある。
支援漏れを防ぐためには、全戸訪問調査などによる早期の状況把握が必須となる。市は職員による調査を実施。市地域支え合いセンターを設置し、市社協に個別相談や見守りなどの活動を委託したが、対応に遅れもあった。
個別事情に寄り添った支援には、調査や相談で得られた情報を共有する場が必要だ。行政だけでなく支援に携わる団体も含めて具体的な解決策を検討し、課題に応じて弁護士や建築士など専門家につなぐ仕組みも不可欠。こうした仕組みを機能させるため、災害対応の主体となる市町は縦割りではなく危機管理、福祉など複数の部局が横断的な体制を構築しておかなければならない。
災害ケースマネジメントの考え方自体の浸透も途上にある。静岡市もその必要性を当初から認識できていなかった。県内全域に取り組みを広めるため、県には研修や先進事例の紹介を通じた啓発、人員派遣などのサポートが求められる。
・全戸訪問調査などによる積極的な状況把握を
・自治体だけでなく支援団体とともに被災者の多様な課題に対応を
・行政は縦割りではなく部局横断で取り組んで
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