能登半島地震の被災地には、全国から自治体や病院の職員ら多くの支援者が駆けつけている。宿泊施設が確保できず、仕事場や車での寝泊まりを余儀なくされる人も多い。支援は長期間続くと予想され、民間や被災自治体では「支援者支援」の動きも出始めた。(上井啓太郎、熊崎未奈)
「24時間人の出入りがあり、正直寒い。車中泊のエンジン音も響く」。石川県珠洲(すず)市役所の1階で、20日から市民課の空いたスペースの簡易ベッドで寝泊まりする松江市職員の武田芳治さん(51)がこぼす。市役所業務の応援で派遣された。寝袋を使い「被災した市民の皆さんの環境が一番ですから」。
◆「車中泊申し訳ない」民宿が宿泊受け入れ
支援者を支えようと、同県能登町大箱の水上志都(しづ)さん(54)は、町内で昨年7月から営む民宿「じろんどん」で8日から、支援団体を受け入れている。「来てくれる人たちが車中泊では申し訳ない」。建物は揺れに耐え、住民向けに開放することも考えたが、各地の支援団体から問い合わせが相次いだことを受けた。これまで建設や医療関係など9団体が泊まった。
「慣れない環境なので、疲弊するとパフォーマンスが下がる。協力してもらえるのはありがたい」。23日夜、じろんどんで同僚3人と机を囲んだ福島県いわき市医療センター災害派遣医療チーム(DMAT)の救命医、城戸教裕(のりひろ)さん(41)が語った。活動拠点の珠洲市の健康増進センターで共に働く医療従事者の中には「センターの2階で寝袋の人もいる」という。
◆「このままではいけない」能登町はプレハブ設置へ
被災自治体も対策を講じ始めた。能登町には現在、避難所や罹災(りさい)証明担当の応援職員だけで100人以上が町外から来ている。町ウェブサイトに掲載する営業中の宿泊施設のうち11施設は2、3月末までほぼ満室だ。
町は役場近くの駐車場に、町外からの支援者が業務や宿泊に使える2階建てプレハブ2棟の設置を計画。2月初めの着工を目指し、町総務課の蔭田(かげた)大介課長は「これからも応援が入ってくる中、このままではいけない」と話した。
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