能登半島地震で2次避難している被災者に少しでも明るい気持ちになってもらおうと、白山市尾添の白山一里野温泉スキー場ゲレンデに29日、こいのぼりが揚げられた。
この日はスキー場職員らが、吹き流し4本と大中小のこいのぼり12匹をリフトのワイヤに登山ロープで結び付けた。5月下旬まで掲げられる。
こいのぼりは、金沢市の堅田商店が白山市に寄贈した。堅田商店は当初、被災地に贈ろうと考えたが、現地の状況などから断念し、避難者がいる白山市に寄贈することになったという。
白山一里野温泉では1月の地震以降、避難者を受け入れ、現在、80人ほどが避難生活を送る。白山一里野温泉観光協会長の穴田慎一さん(55)は「避難者はこの先も見えず大変な思いをされていると思う。こいのぼりが、少しでも前を向くことにつながれば」と話す。岩間山荘女将(おかみ)の北村祐子さん(62)は「避難者に元気を出してもらえれば」と願った。
約350匹のこいのぼりが川の上を泳ぐ大谷川鯉(こい)のぼり川渡しで知られる珠洲市大谷町から避難している堀田久子さん(75)は「家も川も壊れ、山の木も流され、どうしようもないが、仮設住宅に入れるようになれば早く戻りたい」と話し、風になびくこいのぼりを見て「木々の緑に映えて本当にきれい。こいのぼりも喜んでいる」と笑顔を見せた。 (萩原誠)
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