能登半島地震から半年を迎えるのを前に、中日新聞・東京新聞は、特に被害が深刻だった石川県輪島、珠洲両市の仮設住宅に暮らす被災者約100人を対象に、現在の困り事や今後の見通しなどを尋ねるアンケートを実施した。回答者の7割以上が元の市内に住み続けたいと答えた一方、公費解体の遅れや仮設住宅の狭さ、自宅の再建など住まいに関する不安を訴える声が目立った。
◆仮設に住む105人に対面で声集め
アンケートは5月27日~6月4日、記者が両市内の複数の仮設住宅で、被災者と対面で実施した。回答者は10~90代の男女105人。輪島市が63人(60%)、珠洲市が42人(40%)で、65歳以上の高齢者が72.4%を占めた。
生活再建を進めたい場所は、80人(76.2%)が「市内」と回答。「分からない、決められない」が21人(20%)、「能登半島以外」が4人(3.8%)だった。恒久的な住まいをどう確保したいかの設問には79人が回答。「自宅の再建・修復」が39人(49.4%)、「災害公営住宅(復興住宅)」が16人(20.3%)、「分からない、決められない」が14人(17.7%)だった。
◆公費解体の遅れ、仮設の狭さに不安の声多数
「今一番困っていること」について、自由回答を求めた。過去の震災などを基に、被災者の生活再建に必要とされる7要素(住まい、人と人とのつながり、まち、心と体、備え、暮らし向き、行政との関わり)に準じて回答を分類すると、自宅の再建や仮設住宅の狭さなど「住まい」に困難を抱えている人が54人(51.4%)と最多だった。
仕事や被災者向けの支援金など「暮らし向き」が15人(14.3%)、地域の過疎化や道路・水道の復旧など「まち」が13人(12.4%)、体調や高齢化など「心と体」が9人(8.6%)。7要素に当てはまらない「先の見通しが立たない」という回答も9人(8.6%)あった。
アンケート結果の分析に協力を依頼した名城大の柄谷友香教授(防災計画・リスクコミュニケーション)は「庭付きの大きな一戸建て住宅に住んでいた人が多い能登半島では、窮屈な仮設住宅で被災者がストレスを感じやすく、家庭不和や健康問題に発展する可能性がある」と指摘。「支援員による見守りや、仮設住宅での自治会の設置が住民の安心につながる」と話す。
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