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Monday, April 13, 2020

社説(4/14):自然災害と感染症/避難所の抜本的見直しを - 河北新報

社説

自然災害と感染症/避難所の抜本的見直しを

 想像したくないが、新型コロナウイルスの感染が拡大する最中に、大規模な自然災害が起きたら? 逆のケースもまたしかり。目を覆いたくなる災害と目に見えない感染症。二つの脅威が重なる異常事態にどう対処するか。
 豪雨や台風など災害は頻発している。感染症を加味した減災は緊急課題である。衛生管理と感染の拡大阻止対策を合わせて確認し、事前に必要な手を講じておきたい。
 最も懸念されるのが避難所だ。密閉、密集、密接の「3密」回避が感染防止の鉄則だが、災害発生の際に被災者が身を寄せ、大勢が寝食を共にする体育館のような施設は、まさしく3密の危険空間になる。
 リスク排除へ被災者が分散避難する態勢を準備することが肝心だ。内閣府はコロナウイルス感染拡大が続く中で災害が起きた場合、通常より多くの避難所を開設するよう自治体に通知した。
 とはいえ、体育館を転用する従来型の仕組みは抜本的に見直すべきである。通知は旅館やホテルの借り上げも視野に入れた。早急に民間業者に協力を要請し、備えを急ぐべきだ。衛生管理に懸念のない施設の確保こそ真っ先に進めるべき事前対策である。
 東日本大震災では、東北の寒い3月、避難者は体育館の硬く底冷えする床に毛布を敷いて雑魚寝をした。換気が悪く、ほこりっぽい劣悪な環境だった。昨年10月の台風19号被災地でも同様の光景が各地で見られた。
 震災では宮城、岩手、福島の3県で約41万人、全国で約47万人が避難所生活を強いられた。避難所閉鎖まで宮城県は9カ月、岩手県は7カ月を要した。原発事故で福島県双葉町の住民が逃れた埼玉県加須市の避難所が閉鎖されたのは2年9カ月後だった。
 その間、高齢者らは持病を悪化させたり、新たな疾患にかかったりして亡くなる災害関連死が相次いだのである。阪神大震災では避難所でインフルエンザが流行し、多くの関連死を招いた。日常生活を突如奪われた揚げ句、プライバシーを十分守れない環境で多くの人が命を削り、縮めた悲劇を忘れてはならない。
 感染症予防対策は人と人の間隔を1.8メートル以上空けることを推奨する。宿泊施設の確保数が足りず、体育館やホールなどを避難所に転用するにしても、段ボールやパーティション(間仕切り)で区切ることが欠かせない。
 コロナ禍でマスクや消毒液が不足し、供給態勢はいまだ不安を残している。政府は今回の事態を反省し必要物資の備蓄体制を再構築すべきだ。
 避難所は被災者のよりどころ、支援の拠点となる。大規模災害の度に、その安全と「生活の質」が課題となった。東北は再三甚大な被害に見舞われた。同じ轍(てつ)を踏んではならない。複合災害に備えているか。危機感はまだ足りない。

2020年04月14日火曜日


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2 comments:

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