東日本大震災の被災地を手厚く支援する「復興期間」が2020年度末で終わるのを受け、21年度以降の枠組みを定めた改正法が5日、参院本会議で可決、成立した。復興庁を30年度末まで存続させるのが柱。政府は東京電力福島第1原発事故の被災地再生や被災者の心のケアなど、残された課題に対処する一方、支援の重点化も進める。

改正法では、20年度末だった復興庁の設置期限を10年間延長し、21年度以降も専任閣僚を置く。復興予算は、引き続き一般会計から切り離した特別会計で管理。財源となる復興債の発行期間と日本郵政株の売却期限は延長する。

原発事故によって住民帰還や町づくりが進まない福島県への支援は加速。移住・定住を促進するほか、風評被害の影響を受けている事業者への税軽減措置を新設する。

一方、被災地に広く適用されてきた規制の特例措置や税優遇は、対象地域を絞り込む。道路や住宅などの整備が進んだことから、被災自治体がインフラ復旧の財源としている復興交付金は20年度で廃止する。

政府は昨年12月、新たな復興基本方針を決定。原発事故被災地は当面10年間の支援を明記し、地震や津波の被災地は21年度から5年間での事業完了を目指すとした。(共同)