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Friday, September 11, 2020

東日本大震災から9年半 被災者の約7割「新型コロナで交流減」 - NHK NEWS WEB

東日本大震災から9年半 被災者の約7割「新型コロナで交流減」

東日本大震災から11日で9年半です。
NHKが岩手・宮城の被災者1400人余りにアンケートを行ったところ、およそ7割の人が新型コロナウイルスの影響で「交流が減った」と回答しました。
感染対策を行いながら、被災者の孤立をどう防いでいくか、難しい課題が突きつけられています。

NHKはことし7月から今月にかけて、岩手・宮城の被災者4200人余りを対象に生活状況に関するアンケートを行い、35%に当たる1469人から回答を得ました。

この中で、新型コロナウイルスが日常の生活にどのような影響を与えているか尋ねたところ、「交流が減った」という回答が67%と、7割近くに上りました。

また、「収入が減った」が23%、「伝承活動ができなくなった」が12%、「仕事や生活再建が遅れた」が5%でした。

最も回答が多かった交流の減少については、自由記述の中で特に災害公営住宅に住むお年寄りなどから深刻な声が寄せられています。

このうち、宮城県女川町に住む70代の男性は「兄弟や子ども、孫たちに会えなくなった。災害公営住宅から一歩も出なくなった」と書いていました。

また、津波で夫を亡くした多賀城市の80代の女性は、「友達も誰も遊びに来なくなった。日中はラジオと話しています」と記しました。

さらに、岩手県大船渡市の50代の女性は「障害の子と2人取り残されたような気持ちになる。親の私がかかったらと思うと何もできない」と新型コロナウイルスへの不安を記しています。

震災の被災地では、以前から1人暮らしのお年寄りの見守りや孤立死が問題になっていて、感染対策を行いながら孤立をどう防いでいくか、難しい課題が突きつけられています。

被災者「誰も遊びに来なくなった ラジオと話している」

東日本大震災で夫を亡くし、多賀城市の災害公営住宅に1人で暮らす斉藤みさ子さん(88)はアンケートで新型コロナウイルスの影響について、「友達も誰も遊びに来なくなった。日中はラジオと話しています」と回答しました。

斉藤さんの部屋にはこれまで月に数回、ボランティアで訪れる若者や友人が訪れてお茶をしたり、同じ市内に住むめいなどが遊びに来たりしていました。

しかし新型コロナウイルスの感染が拡大したことし3月以降、訪れる人はほとんどいなくなったといいます。

また、斉藤さんも感染を恐れて最低限の買い物や通院以外の外出を控えていて、最近は体重が増え、震災でけがをした足の状態も悪化したということです。

最近は1日のほとんどの時間を自宅でラジオを聴くか、テレビを見るかで過ごしているということです。

斉藤さんは、「一日中ラジオを聴いて独り言を話しているので、孫からは、『おばあちゃんはラジオと話をしている』と言われるようになった。家に友人を招きたいが今の状況では誘えず、めいも来なくなってさみしい」と話していました。

孤立死する人も相次ぐ

1人暮らしの高齢者が多く住む災害公営住宅では、顔を合わせる機会が大幅に減り、誰にもみとられずに孤立死する人も相次いでいます。

宮城県名取市高柳地区にある災害公営住宅では先月中旬、80代の女性が亡くなり、10日以上たってから見つかりました。

複数の住民から「高齢女性の部屋から異臭がする」という声が上がり、警察と市の担当者が室内を確認したところ、トイレの中で亡くなっていたということです。

自治会によりますと、この災害公営住宅で孤立死が起きたのは、3年前に入居が始まって以来、初めてだということです。

この災害公営住宅に住んでいる50世帯の6割は、1人暮らしの高齢者で、自治会はお茶会などのイベントを開いて交流の促進を図ってきました。

しかし新型コロナウイルスの感染が広がったことし4月以降、イベントはすべて中止になり、入居者どうし、顔を合わせる機会が激減していたということです。

自治会の高柳東団地会の松浦正一会長は「入居者どうしのコミュニケーションは異常に減ってしまっていた。今後また孤立死が起きないよう、日頃からお互いの声かけを強化していかなければならない」と話していました。

NHKが宮城県沿岸部の15の自治体に取材したところ、ことし4月以降少なくとも18人が孤立死していたことが分かりました。

自治体ごとに見ると、石巻市で13人、名取市で2人、多賀城市と南三陸町、それに亘理町でそれぞれ1人でした。仙台市は孤立死の数について「把握していない」ということです。

交流の場 ライブハウスも窮地に

被災した人と全国の支援者を結んでいた交流の場も、新型コロナウイルスの影響で窮地に立たされています。

津波で大きな被害を受けた宮城県石巻市にあるライブハウス「BLUE RESISTANCE」は、被災地ににぎわいの場を作り、復興を支援しようという音楽関係者たちのプロジェクトで震災の1年後にオープンしました。

店の壁には賛同した人気アーティストや音楽関係者、それにファンなどの名前が書かれたおよそ2500枚の札が貼られています。

これまで県内外のバンドやアーティストがライブを行い、石巻を活気づけてきましたが、ことしは新型コロナウイルスの影響で50以上の公演が中止となりました。

中止となった中には、復興支援で訪れたアーティストが毎年行っていたライブもあったということで、店も人件費や家賃などおよそ70万円の固定費がかさんで赤字状態が続いています。

店長の黒澤英明さん(49)は「人が集まるということが復興に向けてすごい力になっていると感じていた。音楽ファンが石巻に足を運ぶことで、被災地でいろいろなことを感じてもらっていたが、今はそれもできない」と話しています。

専門家 「多様な取り組みを試してほしい」

被災者のコミュニティー作りに詳しい東北工業大学の新井信幸准教授は、コロナ禍での新たな交流や見守りの在り方を試してほしいと呼びかけています。

新井准教授は、新型コロナウイルスの影響で交流が減ったと答えた被災者がおよそ7割に上ったことについて、「災害公営住宅の入居者はもともと孤立気味だったが、新型コロナウイルスの影響でさらに孤立が助長されている。自治会など地域の運営の在り方を根本的に考え直すべきだ」と話しています。

孤立が深刻化している高齢者について新井准教授は「部屋にこもるようになって体調が悪化したという人も多い。交流をなくしていくと心身ともに衰えが早まったり、住民とよりコミュニケーションがとれなくなったりするので、感染対策を徹底しながら訪問活動などを進めてほしい」と話しています。

そのうえで自治会や行政などに対し、「オンラインでのやり取りの方法を高齢者に教えるなど、多様な取り組みを試してほしい。新たな活動様式が定着すれば、コロナが収束したあとも孤立を防ぐコミュニティーが出来上がっていく」と呼びかけていました。

オンラインで被災者とボランティアが交流

新型コロナウイルスの影響の中、被災者の支援を行う団体では活動を維持するための模索を続けています。

岩手県釜石市のNPO法人「カリタス釜石」は、およそ20か所の災害公営住宅で被災者の見守り活動を行ってきました。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、県外からボランティアが来られなくなり、ことし3月以降、見守り活動を中止しています。

NPOでは、被災者とのつながりを途絶えさせないため今月7日、オンラインを使って被災者とボランティアが交流する会合を開きました。

被災者向けの集会所に設置されたスクリーンにボランティアの顔が映し出されると久しぶりの交流を喜び合い、新型ウイルスの影響など近況について語り合っていました。

このNPOでは、見守り活動の再開の見通しが立たないため、今後はこうしたオンラインでの交流を増やしていくことにしています。

津波で夫を亡くし、災害公営住宅に住んでいる80歳の女性は「体調が悪かったのですが、皆さんと話して生き返ったようです。直接会いたいですが、世間からどう思われるか不安です。早く会える日が来てほしい」と話していました。

カリタス釜石のスタッフの久保寛人さんは、「感染拡大後に家に引きこもっている被災者は少なくないので、今後も交流の場を模索していきたい」と話していました。

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September 11, 2020 at 02:33PM
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