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Wednesday, September 30, 2020

社説 原発被災者訴訟 国は重い責任に向き合え - 信濃毎日新聞

 東京電力だけでなく国にも重い責任があるとの判断があらためて示された。

 2011年の福島第1原発事故時に福島県内と隣接の3県で被災した住民が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審で、仙台高裁が判決を言い渡した。

 国の責任について高裁が判断した初のケースだ。同様の集団訴訟は全国で約30件提起されている。判決の影響は大きい。

 事故原因とされる巨大津波は事前に予見できた。東電に対して国が安全性の確保を命じていれば、防ぎ得た事故だった。今回の判決はそう認定している。

 事故のため故郷を追われた避難者は今年3月時点で4万6千人に上る。一連の訴訟では、それまでの暮らしや仕事を突如奪われ、長く苦しい生活を強いられている被災者の実情が示された。

 国は、司法が突き付けた責任の重さを謙虚に受け止め、被災者が求める賠償の見直しや生活支援の充実に努めねばならない。

 同様の訴訟の一審判決はこれまで、国が被告となった13件のうち今回の一審に当たる2017年の福島地裁判決など7件が国の責任を認めた。他の6件は認めておらず、判断が分かれていた。

 国と東電が毎回、津波を「予見できず、事故は防げなかった」と主張したのに対し、今回を含め多くの判決が予見性を認めた。

 政府の地震調査委員会が02年、東北地方に大津波の危険があるとする「長期評価」を公表。試算すれば、第1原発に10メートルを超える津波が押し寄せる可能性は分かっていたはずだからだ。

 国の責任を認めなかった判決は、東電に指示していたとしても防潮堤などの対策が間に合わなかった可能性を挙げていた。

 原発政策は、国と大手電力が国策民営で進めてきた。規制権限を持つ国の不作為を見逃すことはできない。予見できた以上、責任が問われるのは当然である。

 事故後の新規制基準は最新の知見を反映させるバックフィット制度を導入した。経済性が安全性に優先する風土は払拭(ふっしょく)できたか。国は厳しく見ていく必要がある。

 今回の判決が原告3550人に認めた賠償額は計約10億1千万円で、約5億円とした一審判決よりも救済の範囲を広げた。

 被災者の苦難は実態に即して補償されねばならない。国の「中間指針」に基づく額では不十分なことが、これまでの訴訟結果から明白になったと言える。政府は早急に見直しを進めるべきだ。

(10月1日)

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