長野の被災者に勇気 都市対抗出場、秋田のＴＤＫ選手らボランティア活動 - 毎日新聞 - 毎日新聞

長野県でボランティアをした選手たち＝ＴＤＫ野球部提供

　第９１回都市対抗野球大会（毎日新聞社、日本野球連盟主催）で７年ぶりの本大会出場を果たしたＴＤＫ（秋田県にかほ市）の選手たちは２０１９年１０月、台風１９号で千曲川が氾濫した長野県で復旧ボランティア活動に携わった。同県には、かつて社会人野球チーム・ＴＤＫ千曲川＝０９年にＴＤＫに統合＝があり、佐藤康典監督（５０）や阿部正大（まさひろ）コーチ（３８）はその元選手。縁深い長野の被災者を元気づけるためにも勝利したいとの思いで２５日の試合に臨んだ。

　ＴＤＫの選手約２０人と阿部コーチは台風１９号の上陸から約２週間後の１９年１０月末、長靴やスコップを携え、車で被災地に入った。浸水地域がある長野市を拠点に１日半にわたり、民家の泥かき作業を手伝った。

　皆川普（ひろし）主将（２７）はあちこちに土砂が散乱する光景に「胸を刺されたような衝撃」を受け、被災した地元の人に何と声をかけたらいいか戸惑った。「不自由なく日常生活を送ることができ、野球ができる環境は決して当たり前ではない」と気づいたという。

　阿部コーチは長野県の軽井沢高から近くの佐久市を拠点とするＴＤＫ千曲川に入り、統合でにかほ市に移って通算１２回都市対抗野球本大会に出場。社会人野球日本代表も経験した。１６年に現役を引退すると佐久市の事業所に戻ったが、１９年９月に佐藤監督からコーチを打診され、単身赴任で再びにかほ市へ。台風被害が起きたのは、その１カ月後だった。

　選手とボランティアへの参加を決めた阿部コーチは、「少しでも被災地の力になれれば」と黙々と手を動かす選手たちを頼もしく感じたといい、「人としての幅を広げ、野球と向き合う姿勢を見つめ直してくれたならうれしい」と振り返る。

　チームは今回の本大会前に約１週間、佐久市でキャンプをした。日本新薬（京都市）との試合では、最後まで食い下がったが惜敗。阿部コーチは「コロナ禍の中、ライブ中継で秋田や長野から見てくれた人もいると思う。試合は悔しい結果だったが、若いチームなのでさまざまな経験をこれからに生かしたい」と語った。【下河辺果歩】

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November 29, 2020 at 07:00AM
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