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Sunday, January 3, 2021

熊本豪雨半年 住民参加で復興の推進を - 熊本日日新聞

taritkar.blogspot.com

 きのうの本紙1面に写真が掲載された初日の出に包まれる人吉市街地。その中央にゆったりと横たわり光を照り返す球磨川の姿に、美しい日常と大きな隔たりがあったあの日の惨劇を思った。

 きょう4日で昨年7月の熊本豪雨から半年。65人の犠牲者の冥福を改めて祈るとともに、2人の行方不明者の一刻も早い発見を、そして新たな年に被災者の生活再建の着実なスタートが刻まれることを、願いたい。

地震の教訓生かす

 豪雨被災者の仮設住宅の入居者数は昨年12月20日現在、4215人(1791世帯)で、11月25日の前回集計から261人(116世帯)増えた。最大で2500人を超す被災者が身を寄せた避難所は、ほぼ閉鎖。県が進めていた建設型仮設が昨年末までに全て完成するなど、住まいの確保は一歩進んだと言えるだろう。

 ただ、一方で被災した自宅で暮らす在宅被災者は、昨年12月15日現在で2614世帯に上る。被災7市町村が設置した地域支え合いセンターの活動が本格化したことから把握が進み、10月時点の集計から千人近く増えたという。

 熊本地震では、同センターの多くで支援対象が建設型の仮設入居者に限られ、その他の被災者がこぼれ落ちてしまった。その教訓を生かして、今回の豪雨では、在宅被災者や「みなし仮設」の入居者も当初から対象に含めた。地震で相次いだ孤独死などを防ぐためにも、被災者の把握を急ぎ、巡回相談などの見守り活動につなげてもらいたい。

行政施策とのずれ

 被災者が生活再建の入り口に立とうとしている今、気になるのはそれに向けての動きが、行政の想定ほどには進んでいないことだ。

 被災した住宅などの公費解体について、県内23市町村への申請件数は、昨年11月末現在で1574件で、このうち解体完了は7・3%の115件にとどまっている。八代市や球磨村では「解体して住宅を再建するかどうかを悩んでいる世帯が多い」と見て、申請期限を延長した。

 被災事業者支援策の柱である「なりわい再建支援補助金」の累積申請件数も昨年12月初旬の時点で111件と、県が予算化した件数の15分の1にとどまる。これもコロナ禍に加えて再度の被災への懸念もあって、再建に踏み出せないでいる事業者が多いようだ。

 熊日が球磨川流域の豪雨被災者らに対して実施した意識調査では、「今、行政に最も取り組んでほしい施策は」との質問に対して、最も多かった回答は「生活や事業の再建」で53・0%だった。

 こうした当事者の思いと行政側が打ち出す復興施策とに、ずれはないか。ともすれば流水型ダム建設などの長期的な大型事業の論議が先行する中で、個々の被災者の目前の課題解決を支えるきめ細かな施策の充実を求めたい。

 そのためにも、今後の復興の推進には住民参加が欠かせない。八代市坂本町の「坂本住民自治協議会」や球磨村神瀬地区の「こうのせ再生委員会」が好例である。ともに被災支援の共助を進めながら、住民が復興に望む意見をまとめ行政に届けている。八代市、球磨村ともに、これらの声を復興計画に取り入れていくという。

県プランの修正も

 県は昨年11月に、有識者からの提言などを基盤とした復旧・復興プランを公表した。本年度中に5年以内に取り組む施策を中心に、各事業の具体的な工程表を示す方針だが、被災地住民の意向をできる限りくみ取る仕組みをつくってもらいたい。長期的施策についても、民意の反映によって修正していく柔軟性がほしい。それがあってこそ、蒲島郁夫知事が掲げる「住民や市町村との将来ビジョンの共有」ができるはずだ。

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