昨年7月の豪雨災害の被災地でボランティアを続ける東海大3年の前元盾哉[じゅんや]さん(21)が4月、熊本市にシェアハウスを開設した。きっかけは、人同士がつながることの大切さを知った被災地での経験。同じ志を持つ若者と共同生活し、支援の輪を広げている。
大学OBに誘われ、関わるようになった被災地支援。新型コロナウイルスの流行によってボランティアが県内在住者に限られ、学生のアルバイトも減る中、クラウドファンディングを使って有償の学生ボランティアを派遣するプロジェクトの運営を任された。
初めて人吉市に入ったのは豪雨の約3週間後。がれきだらけの市街地や泥に埋もれた民家、絶望に直面しつつも必死に生きようとする被災者を目の当たりにし、「自分にできることをここで続けなければ」と覚悟した。アルバイトをやめ、被災地に寝泊まりしながら泥かきや困り事の聞き取りを続けた。
被災地で強く感じたことの一つは、時に強すぎるほどの地縁や共助の精神。「あん家は手付かずで困っとるけん、行ってやって」「軽トラは俺が出す。がれきば片付けよう」。自ら被災しながら、より苦しんでいる家庭に手を差し伸べる多くの人たちに出会った。
もう一つは、仲間の大切さ。手探りで呼び掛けた学生ボランティアの登録は100人に上った。「思いを具体的に言葉にし、自ら動くことで、多くの学生や大人たちが力を貸してくれた」。「ボランティアバス」の運行は力を結集してできた成果の一つだ。
前元さんは支援者同士の交流を通じ、食事しながら思いを語り合う場が大切だと思うようになった。その思いが、シェアハウスの開設につながった。
見つけた物件は、熊本市西区の築40年の一戸建て住宅。前元さんの思いに触れた所有者が、安く貸してくれた。入居者5人それぞれに個室があり、台所や風呂などは共有。賃料と運営費用は5人の毎月の家賃でまかなっている。
ほかの入居者は、被災地支援で知り合ったほかの大学の学生や、起業を志す若者ら。シェアハウスには英語の「追い風」にちなんで「FolloWINd」と名付けた。
被災地支援や学業と並行しながら、入居者以外も立ち寄れる「コワーキングスペース」の準備も進める。目指すのは入居者の知人やその知人らが集い、被災地支援のアイデアやスキルを共有する場だ。「若い人たちが夢をかなえられるよう、つながる機会をたくさんつくりたい」(堀江利雅)
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