胆振東部地震からきょうで3年を迎えた。未明の揺れが甚大な被害をもたらし、災害関連死を含め全道で44人の犠牲者が出た。
現在、胆振管内厚真、安平、むかわの3町と札幌市清田区里塚、北広島市大曲並木などの被災地では、復旧工事の多くが完了するか最終段階に入っている。
目に見える部分の復興は進んでいると言っていい。
その一方で、残された大きい課題が被災者の内面の健康だ。
仮設住宅を出てから人との交流が減ったり、悲しみが癒えていない被災者たちがいる。
目配りや心のケアなどの支援に、行政や地域が引き続き丁寧に当たっていくのが大切だ。
3町の仮設住宅にはピーク時には800人近くが入居した。
全ての仮設住宅が今夏までに2年の入居期限を迎え、被災者は災害公営住宅や修繕した自宅に戻るなどして新生活を始めている。
ただ、コミュニティーが分散し、コロナ禍の影響もあって人と会う機会が減り寂しさを抱く被災者は多い。1人暮らしの場合は孤立も懸念される。
人のつながりを保つ工夫を地域一体で考えていく必要がある。
そもそもこの仮設住宅2年ルールに対しては、再出発への準備期間には短いとの不満が災害のたびに被災者から上がっている。
延長や弾力的運用への期待は今回の被災地にもあった。
だが実現せず、厚真町は自宅再建が間に合わずに期限を迎えた被災者には町設置のトレーラーハウスに住んでもらう措置をとった。
国は期限の見直しを検討すべきだ。道は被災地側に立って現地の切実な事情を国に強く訴えるべきではなかったか。
さまざまな事業に活用できる復興基金の創設を求める声もあったが、顧みられなかった。被災者に寄り添い続けた3町に対し、国と道の対応には不満が残る。
家族を失った悲しみが、落ち着きを取り戻した被災者の元に遅れてやってくるケースもある。
厚真町はそういった悩みを察知し相談窓口に橋渡しする「ゲートキーパー」の養成を始めている。中長期にわたり被災者の精神面を支えていくのが重要だ。
3町では震災後に人口流出が加速した。だが重ねてきたきめ細かい被災者支援は、平時の福祉の向上にも寄与しているはずだ。
この成果を広く発信し、交流人口や移住の増加に結び付ける視点があってもいい。
からの記事と詳細 ( 胆振東部地震3年 被災者へ目配り丁寧に:北海道新聞 どうしん電子版 - 北海道新聞 )
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