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Monday, September 6, 2021

被災者の生活支援にコロナの壁 - nhk.or.jp

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北海道胆振東部地震から3年。最大震度7を観測した厚真町では去年10月、被災した人たちが仮設住宅から災害公営住宅に引っ越し、新しい生活を歩み始めています。しかし、住まいを転々とするなかで住民どうしの関係性が薄れたことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大でふれあいの場が減り、人知れず悩みをかかえた被災者は多いといいます。
(室蘭放送局・小林研太記者)

「久しぶりです。変わりないですか?」

厚真町新町地区にある災害公営住宅。ここには地震で自宅が全壊し、仮設住宅に住んでいた18世帯が移り住んでいます。
厚真町社会福祉協議会の吉田文至さんは、生活支援相談員として災害公営住宅で暮らす人を訪れ、どんな悩みを抱えているのか1人1人丁寧に聞き出していきます。

吉田さん
「おはようございます。ひさしぶりです。やせたんじゃないですか?」
災害公営住宅に暮らす70代男性
「とくに普通で、いつもと変わりないですよ。」

厚真町には新町地区を含め3地区に災害公営住宅が建設され、あわせて30世帯が暮らしています。吉田さんはその1軒1軒を訪ねています。大切にしているのが直接会うことでしか得られない情報です。

社会福祉協議会 吉田文至さん
「何回も訪問しながら本人を取り巻く環境の異変をくみ取るようにしています。パっと見て、『やせたのでは?』『食事をとっていないのでは?』『ストレスを抱えているのでは?』と、常にアンテナを張りながら見回りしています。」

地震で自宅を失い、避難所や仮設住宅など生活の拠点を転々としてきた人たち。心にのしかかるストレスは計り知れません。さらに今、新型コロナウイルスの感染拡大が心のさらなる負担として影響を与えています。

地震とコロナ、両方はつらい

本郷地区の災害公営住宅に暮らす、飛谷京子さん(69)。地震で自宅が全壊し、いまは夫と二人暮らしをしています。

この災害公営住宅には同じ地区に住んでいた顔見知りも多く入居していて、一見落ち着いた暮らしができているように見えます。しかし、やはり戻れるものなら戻りたいという気持ちをそっと打ち明けてくれました。

飛谷京子さん
「仮設住宅にいた頃より落ち着いていますけど、心のなかではやっぱりもとの家に帰れるものなら帰りたい。けど、かなわないからここに入っているという感じです。ここに住むみんなも同じ気持ちだと思いますけどね」。

夫が仕事に出ている日中は家の中にこもりがちだという飛谷さん。全国的に新型コロナウイルスの感染が広がり、ここ厚真町でも地域での交流の場がたびたび制限されてきました。不安な悩みを打ち明けたり、友人と顔を合わせたりする機会が減っています。

さらに親族の不幸も重なりました。地震や度重なる引っ越しで不安定になった心のよりどころが、新型コロナウイルスの影響でなくなってしまったのです。

厚真町社会福祉協議会 吉田文至さん
「顔の見える関係というのは以前よりも少なくなりました。距離感を本当に大切にしているので、いまこの状態でどんな対応が一番いいのかというのは非常に悩んでいるところです」。

ふれあいの場が再開

 町民の間では、感染のリスクを減らしたうえで、地域で交流のあり方を探る動きが始まっています。

災害公営住宅などで暮らすお年寄りの心と体の健康維持を目的とした体操教室です。仮設住宅暮らしだったころに開かれていた去年10月以来、約9か月ぶりの開催でした。この日は新町地区にある公営住宅の談話室に教室のスペースが設けられ、お年寄り4人が参加。口を大きく開ける顔の体操や、肩甲骨周りの筋肉をほぐす体操など、およそ30分間楽しく体を動かしました。

参加者の女性
「きょうは楽しかったです。みんなに会うのがいちばん」

講師の高橋康夫さん
「部屋にこもって1人でいると苦痛だと思うので、人数制限をしながら開催しました。みなさんのつながりを深めていきたいと思ってね」

ボランティアで体操教室の講師を務める高橋さんやサポートした社会福祉協議会のメンバーは、教室の参加人数を以前の半分に減らし、部屋の消毒や換気を徹底するなど感染対策をとっています。
少人数でもこうした活動を続けていくことが、コミュニティーの再構築につながるのではないかと考えているからです。
被災者の精神面のケアを最優先に取り組むとしている厚真町。新型コロナウイルスの対策を取りながら生きがいをある暮らしの実現に向けて、模索が始まっています。

取材・室蘭放送局 小林研太

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