自然災害であわやのところで一命を取り留めたのに、その後の生活で亡くなってしまう災害関連死。内閣府が今年4月に初めて公表した関連死の事例集からは、被災者の体調が悪化していく状況が浮かび上がる。関連死はどうすれば防げるのか。対策を専門家に聞いた。(山野拓郎、竹野内崇宏、グラフィック=米沢章憲)
車中泊「血がどろどろになりやすい」
《70代男性。地震後、車中泊をして過ごす。数日後の昼食後、車を置いていた自宅裏の空き地で突然倒れた。救急搬送されたが、致死性不整脈で死亡》
大地震の直後、余震の恐れから屋内を避けたり、ペットと過ごしたりするために車中泊を選ぶことがある。
しかし、足を動かさないまま長時間過ごすと、足の血管に血のかたまり(血栓)ができやすくなる。血栓が移動して肺の血管をつまらせると、肺塞栓(そくせん)症などの「エコノミークラス症候群」となり、危険な不整脈につながることもある。
災害後には、血管や心臓といった循環器系の病気が増える。災害関連死の死因の内訳が詳しく公表されている2016年の熊本地震では、循環器系疾患が全体の約3割を占めた。
日本循環器学会などは東日本大震災後の14年、循環器疾患の予防ガイドラインを作った。作成に携わった国際医療福祉大大学院の下川宏明・副大学院長(循環器内科)によると、被災者は災害による急性のストレスと、避難生活による慢性のストレスの両方にさらされる。いずれも交感神経を緊張させ、血管が収縮して血圧が上昇するため、循環器疾患のリスクが高まる。
車中泊では運動不足になりがちなほか、トイレの回数を減らそうとして水分をとらない人も多く、血がどろどろになりやすい。下川さんは「ただでさえ狭い車内はストレスなのに、水分不足に姿勢が固まるのも加わって血栓ができやすい。避難所や知人宅に避難できないか、積極的に検討すべきだ」と語る。
どうしても車中泊が必要なら…
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