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Tuesday, January 11, 2022

読み書きできない被災者支援 桂光子さん死去 震災後、神戸で教室運営20年超 - 神戸新聞NEXT

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 阪神・淡路大震災の後、読み書きができない人たちに向けた識字教室を神戸市内で続けてきた桂光子さんが昨年、85歳で亡くなった。訪れる人を朗らかに迎え入れ、重い人生と学ぶ喜びに寄り添い、世代を超えて慕われた。20年以上にわたる歩みを広く伝えようと、共に活動した仲間が冊子の作成を進める。(新開真理)

 識字教室「ひまわりの会」は震災翌年の1996年9月、同市長田区で発足。読み書きが十分にできないため、罹災(りさい)証明や義援金、仮設住宅などの手続きを進められずにいた被災者らの声に接し、当時、同市立丸山中学西野分校(夜間中学)の教諭だった桂さん、住民の生活再建を支援していた「SVA」(現シャンティ国際ボランティア会)のメンバーらが創設した。

 初期には小さな部屋が、貧困などのため学校に通えなかった在日コリアンのお年寄りらで埋まった。何度か拠点を移しながら活動を続け、現在は週に1回、長田公民館(同区四番町)に十数人が集まる。

 桂さんは、参加者が文字を通して社会とつながること、互いに学び合うことを重視した。新聞記事や街角の看板の内容を盛り込んだオリジナルの教材を作成。震災の体験や幼い頃の思い出を作文につづり、発表する機会も設けた。しかし昨年5月、新型コロナウイルス感染症のため同市内の病院で死去。年末、緊急事態宣言の解除などを受け、参加者らに訃報が届いた。

 ひまわりの会に通う女性(81)は桂さんを「素朴でほめ上手で、分け隔てのない先生」としのぶ。かつては子どもを病院に連れて行っても書類が書けず、包帯を巻いて代筆を頼んだことも。けれど今は「この字は知らない、と言えるようになった。ほんとにありがたい。同じ気持ちの人はいっぱいいるはず」と惜しむ。

 2007年ごろからは、神戸親和女子大や神戸大などの学生たちも会を支える。元スタッフで、和歌山信愛大助教として識字教育の研究を続ける江口怜(さとし)さん(34)は「欠席した人にも必ず電話をかけていた。ひとりひとりの背景を知り、心に触れることに人生を懸けてこられた」と振り返る。

 西野分校教諭で会のスタッフを務める井口(いのくち)幸治さん(51)は、音楽が流れると踊り始める桂さんの姿を時折、思い出すという。運営に伴う苦労があっても「いつも笑顔。学ぶことは生きること、という強い思いをお持ちで、私たちの道しるべでした」と話す。

 冊子の問い合わせはメール(kojiinokuchinagame@gmail.com)で。

【特集ページ】阪神・淡路大震災

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