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Saturday, July 2, 2022

熱海土石流災害から1年 当時のつらい記憶がよみがえる「アニバーサリー反応」に陥る被災者も - 東京新聞

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被災者に寄り添いながら活動を続ける熱海市伊豆山ささえ逢いセンターの相談員ら=静岡県熱海市で

被災者に寄り添いながら活動を続ける熱海市伊豆山ささえ逢いセンターの相談員ら=静岡県熱海市で

 静岡県熱海市伊豆山いずさんの土石流災害から3日で1年。災害などの節目に際し、心身の状態が不安定になる「アニバーサリー(記念日)反応」とみられる被災者もいる。応急仮設住宅などで暮らす被災者の生活再建を支援する熱海市の「伊豆山ささえいセンター」の生活支援相談員たちが一人一人に寄り添いながら訪問活動を続けている。(山中正義)

 「発生から1年が近づき、落ち着いてきた気持ちが揺さぶられている人も少なくない」。センターのある相談員は、普段とは違う被災者のふとした表情から内心の変化を感じ取った。「1年が過ぎた後も、引き続き、しっかり声掛けをしていかないといけない」との思いを新たにした。

 センターは昨年10月に開設された。看護師などの資格を持つ相談員6人や保健師らが自宅訪問や電話で被災者の相談に乗り、必要に応じて行政や関係機関につないでいる。支援の対象は127世帯で、これまでに延べ900人以上の相談に応じた。

 アニバーサリー反応では、「発生1年」といった節目の前後に、当時を思い出して悲しみがぶり返したり、不安になったりする。土石流発生前後に雨が降っていたことから、ちょっとした雨音でも、発生時や避難生活中のつらい記憶などがよみがえる可能性があるという。相談員たちは6月、変化に特に注意しながら訪問活動に当たった。

 被災した約130世帯が今も、公営住宅などで仮住まいを続ける。応急仮設住宅で家賃が免除される期限は2年間で、生活再建への不安は消えない。近所付き合いなど人と関わる機会が減ったり、市外へ移って熱海に関する情報が入りにくくなったりするなど、住み慣れた土地を離れ、孤独を感じる被災者は多い。

 この相談員は「被災者の中には焦りも出ている。そういった気持ちもくみ取りながら接していかないと」と気に掛ける。

 被災者といっても、大切な家族を失ったり、自宅を流されたりと境遇はさまざま。訪問を拒絶する人もおり、だれ一人として同じ状況はない。相談員たちの中には「私たちが訪問することを重荷に思う人もいる」と戸惑うこともあるが、「話し相手ができたと孤独感をいやしてくれている」と手応えも感じている。

 被災地の復興にはまだ時間がかかりそうで、原盛輝なるあきセンター長は「生活再建の支援も必要だし、災害関連死も出してはいけない。これからも活動を続けたい」と語る。

◆自分の感情を否定せず我慢しないように

 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の金吉晴所長の話 アニバーサリー反応は、災害のあった日付や報道で社会の関心が高まるなど、さまざまなきっかけで起きる。災害時の恐怖や無力感など当時と同じ感情が出て、体調を崩す人もいる。自分の感情を否定せず、我慢しないようにするのがいい。反応がきつく、生活に支障があるような場合はカウンセラーなど専門家に相談してほしい。支援する側は心のケアだけでなく、安心して生活できるよう支えることが大事だ。

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