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Wednesday, August 17, 2022

被災者の心理ケア学ぶ 浦和大生が災害時シミュレーション 学生「将来に役立ち 経験を積めた」 - 東京新聞

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酒に酔って指示に従わない被災者役の学生(中)をなだめ、待機場所へ誘導する学生ら

酒に酔って指示に従わない被災者役の学生(中)をなだめ、待機場所へ誘導する学生ら

 大規模災害時に求められる被災者の心のケアについて学ぼうと、浦和大学(さいたま市緑区)で七月二十七日、シミュレーションが行われた。学生が被災者役と支援者役に分かれ、授業で学んだ支援方法を生かして取り組んだ。(前田朋子)

 社会学部の鈴木吏良(りら)特任准教授の授業「カウンセリング」の一環で、同学部総合福祉学科とこども学部こども学科の二〜四年生約五十人が参加した。

 鈴木ゼミの三年生八人がシナリオを考え、平日の日中に首都圏で大きな地震が起きたと想定。避難所には障害者や高齢者、外国人、子どもなどいわゆる災害弱者に加え、酒に酔って指示に従わない人、マスクをせず怒鳴り散らす人、急に産気づく妊婦らが訪れ、多様な対応が要求された。

 同じシミュレーションは二週間前の授業でも実施した。その時は予告せず始めたため戸惑ったり、照れて半笑いだったりで思うように動けなかった学生が多かったが、今回は被災者役、支援者役ともに周到に準備して臨んだ。

 二回とも支援者役だったこども学科三年の本田百華さん(20)は「両親とはぐれた五歳児」に対応。子ども用に区切ったスペースに誘導し、「パパやママに会いたい」と泣きじゃくる被災者役に塗り絵で遊ぶ提案をしたり、子どもの目線に合わせてしゃがんで話したりと、工夫を重ねて寄り添った。本田さんは「前回は子どもスペースも作れず、てんやわんやで支援者同士の連携もできなかったが、今回はほかの被災者を見る時間もできた」と話した。

学生に説明する鈴木吏良特任准教授

学生に説明する鈴木吏良特任准教授

 同学科三年の林優衣さん(20)は終始冷静な対応が評価され、「演技大賞」を受賞した。当初は避難所の受付にいたが、新たに訪れる被災者が途切れたタイミングで傷病者支援に向かい、指示する人が少ないとみて積極的に声出しをするなど臨機応変に対応した。

 二人とも卒業後は乳幼児に関わる仕事を希望しており、「今回の授業は将来に役立つし、経験を積めた」と声をそろえた。

 鈴木准教授は報道記者だった一九九五年に阪神大震災を取材。テレビキャスターを経て海上自衛官となり、被災者の心理的支援にも携わるなど異色の経歴を持つ。災害精神支援学の専門家として、警察や消防職員のメンタルケア研修もしている。

 鈴木准教授は「学生は授業で学び、頭では分かっているが実際にシミュレーションするとうまくいかず衝撃を受ける。一度目を経てモチベーションも上がり、今まで学んだことを総動員して活動してくれた」と評価した。

 今後は災害に衝撃を受けて声を発せない人らにも目を配るマニュアルを作り、災害時に活用できるケアプログラムの開発に生かすという。

子どもの被災者役(右)に対応をする本田さん。1回目の教訓から、ぬいぐるみなど小道具が有効と考え準備したという=いずれも浦和大学で

子どもの被災者役(右)に対応をする本田さん。1回目の教訓から、ぬいぐるみなど小道具が有効と考え準備したという=いずれも浦和大学で


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