熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から1年10カ月が経過した。市は被災地の「警戒区域」を9月1日に解除する方針だが、同日時点で避難先から帰還できる住民は一部にとどまる。被災者からは「まだ戻れない人は、いつ帰還できるのか」「ただ待つばかりでは心が折れてしまう」と嘆きの声が聞かれた。
警戒区域付近では3日、発災時刻とされる午前10時半ごろに遺族や被災者が犠牲者に黙とうをささげた。母親を亡くし、自宅が土石流で流された太田朋晃さん(57)は「うちがあった場所は道路と川になる計画だが、自宅の代替地がどうなるのか、先のことが見通せない」と不安を口にした。
市によると、警戒区域内に残っている46棟のうち、9月1日時点で32棟のライフラインが復旧する見通し。ただ、住宅跡地の造成や分譲までの道のりは長い。太田さんのように、今後の生活拠点をどこに置くか決められずに悩んでいる人は少なくない。
自宅が全壊した太田かおりさん(57)は「市は今後の見通しを逐一説明してほしい。復興計画自体に住民の意見が反映されているのかも疑問」と話した。
東日本大震災の被災地の復興事業に携わった土木設計エンジニアで、熱海土石流の問題を検証している清水浩さん(55)は「復興には行政と住民が話し合う過程が最も重要なのに、熱海市は合意形成を軽視しているように見える。技術的、法的に何が可能で、何が不可能かを住民に納得してもらうことで形が見えてくるはずだ」と指摘する。
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