能登半島地震の影響で今も漁に出られない石川県輪島市の海女らを支援しようと、東京都文京区のギャラリーが7日、被災者が保管していた輪島塗の漆器の販売会を始めた。売り上げを所有者に渡す。店主の天川(てんかわ)彩さん(62)は「今日、明日の暮らしに困っている人たちに1円でも多く届けたい」と話す。
ギャラリーに並ぶ朱色や黒色のわんや膳など118点の漆器は、輪島市で400年ほど海女漁を続けてきた早瀬家の蔵に約50年眠っていた「家宝」だ。天川さんは海女漁を継いだ早瀬千春さんに知人を介して知り合い、5月に輪島を訪問。自宅が全壊し、義兄宅に身を寄せる千春さんから、生活再建のために漆器を託された。
天川さんは1995年の阪神・淡路大震災で被災し、2週間ほど避難所で過ごした。「炊き出しなどでいろんな方々が支援してくれた。支援の心を受け取った」。感謝の思いが被災地支援の原動力になっている。
漆器は子や孫のために代々買い足され、明治~大正期の品が多いという。「漆器を使うときには、能登半島地震や輪島塗の伝統を子や孫らに伝え、支援のバトンを次の世代に渡してもらえたら」と天川さんは願っている。
販売会は16日まで(10、11日休み)の正午~午後5時、Hopiショップ「Sun&Rain」(文京区根津2の22の3)で。支払いは現金のみ。売り上げは包装材など実費を除き、千春さんに渡す。問い合わせは運営会社=電03(3828)5070=へ。(押川恵理子)
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