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Thursday, July 28, 2022

(社説)被災地の支援 民間の力 生かすために:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

taritkar.blogspot.com

 全国で梅雨は明けたが、不順な天候が続いている。6月中に記録的な早さで梅雨明けした本州の各地域や四国、九州では、逆戻りしたような激しい雨による被害も相次いだ。

 ここ数年の「7月豪雨」で多くの犠牲者が出た被災地では、復興への取り組みのかたわら、支援活動で直面した課題の解決をめざす動きが芽生えている。牽引(けんいん)するのは、市民団体や企業など民間の関係者だ。

 岡山NPOセンター(岡山市)を中心に、県内の約200の組織が集う「災害支援ネットワークおかやま」は、被災者が必要とする物資をできるだけ過不足なく、迅速に届けられる仕組みづくりを進めてきた。

 4年前の西日本豪雨の発災直後に活動を始めたが、刻々と変化するニーズに応じるのは難題だった。まとまった量の物品を提供できる企業の力をもっと活用できないか。そんな発想から、ネット上のマッチングシステムが生まれた。

 2年前の熊本豪雨の経験も踏まえ、飲料や資機材など100を超す物品のカタログを用意した。各企業が提供できる品目と個数をあらかじめ登録。発災後に現地で必要数を入力して突き合わせ、企業から避難所などに発送してもらう。ゆるやかな寄付の約束という趣旨で「できるかもリスト」と名付けた。

 システム作りは、IT技術者が被災地支援のために集まったNPOが担った。趣旨に賛同した大手保険会社損保ジャパンが、岡山支店を中心に取引先企業に協力を呼びかけている。

 ネットを活用した新たな仕組みづくりは、他にもある。

 災害時には、支援にかかわるNPOや地元の社会福祉協議会、行政の担当者が情報共有会議を設けることが一般的になった。ただ、それぞれの活動報告に偏りがちで、被災者がどんな支援を必要としているのかの把握は不十分なのが実情だ。

 避難所ごとにニーズや支援状況を整理した「カルテ」を作ってネット上で共有し、効率的な支援につなげたい。「おかやま」の要望に別のIT技術者団体が協力し作業を続けている。

 こうした民間の試みを後押しするには何が必要か。

 東日本大震災後の支援にかかわってきたNPOや学者らからなる「3・11から未来の災害復興制度を提案する会」は、災害救助法の改正を提唱する。1947年の制定当時はほとんど想定されていなかった民間の役割を、法律の中にしっかり位置づけようというわけだ。

 資金の提供など行政による支援の充実は大切だろう。それに加えて、法制面の整備についても議論を深めたい。

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