阪神淡路大震災から28年となった先月17日、追悼行事「1・17のつどい」が行われた神戸市中央区の東遊園地で、会場を訪れた被災者や関係者らにインタビューをする若者の姿がみられた。関西大で防災について学ぶ学生らによる「『わたしの117』ヴォイス・プロジェクト」。震災を経験していない学生らが、追悼行事に足を運んだ人の話を聞き、映像として残すことで記憶や教訓を次世代につないでいこうという取り組みで、被災者からも期待する声が聞かれた。
参加したのは、関西大社会安全学部の近藤誠司教授(災害情報論)のゼミ生のうち、有志の8人。災害や防災について学ぶ中で、阪神淡路大震災の教訓を受け継いでいく重要性を感じ、プロジェクトを企画した。
学生らは、追悼行事の準備が進む1月15日から17日までの3日間、東遊園地で計約20人にインタビュー。「どのような思いで参加されましたか」などと質問して思いを聞き、その様子を映像で記録した。
そのうちの一人、岡山県倉敷市の山中弓子さん(54)は16日に会場を訪れた。震災当時、神戸市内の小学校で避難所運営支援に関わり、そこで新潟から1人でやってきた看護師が避難所で被災者のケアに奔走している姿をみて、「こういう支援の仕方があるんだ」と感心したという。
これをきっかけに、災害時に被災地で適切な医療を提供する「災害看護」に携わろうと、看護師に。現在は豪雨災害のあった倉敷市の真備町地区と、福島県南相馬市を行き来している。
1・17のつどいに訪れた理由を「当時のことを振り返って、原点に立ち返るために毎年足を運んでいる」と答えた山中さん。当時のことを聞かせてほしいという学生の問いには「地鳴りの音や衝撃をずっと忘れられない。当時は避難所運営の知識もなく、できなかったことの方が多かった。悔しい思いがずっとある」と心境を明かした。
さらに、「震災を経験していない私たちができることは何か」と質問されると、震災当時の反省を踏まえ、「家の中の安全を確認してほしい。逃げるときは近所にも声をかけてほしい」と呼びかけていた。
インタビューを終えた山中さんは、「次の災害が起きたときに命を守るためには、教訓や経験を伝えることが大切。それを若い世代が発信するのは、いい取り組みだと思う」と話していた。
今回、初の試みとなった学生にとっても、意義深い機会となった。3年生の濱口大暉さん(20)は、災害の知識は身についたものの、人ごとのように感じていることに気づき、現場の声を聞こうと参加。「訪れた人の思いを直接感じることができて、頭ではなく心で理解できるようになった」と話していた。
両親の被災体験を聞き、災害を学ぼうと決意した神戸市東灘区の4年生、吉田三莉さん(22)は、インタビューの相手から、「震災を経験していなくても伝えてほしい」と声をかけられたといい、「震災は直接知らないが、命を守るために危機意識を持つことの重要性は伝えていけると思った」と振り返った。
撮影した動画は学生らが編集し、今後、ゼミのホームページなどで公開される予定だ。(弓場珠希)
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