復興庁は11日、東日本大震災や東京電力福島第一原子力発電所事故に対する風評を将来にわたって払拭(ふっしょく)する目的で、全国の高校生を集めた「現地視察ツアー」を実施した。日程は12日までの2日間。
ツアーには、北海道から鹿児島県に至る8都道県の生徒計66人が参加した。初日の11日は震災遺構である「浪江町立請戸(うけど)小学校」(福島県浪江町)と震災、原発事故の実情を伝える「東日本大震災・原子力災害伝承館」(同双葉町)を視察した。
海辺にあった請戸小は津波にのみ込まれたものの、児童、教職員の適切で迅速な判断により、近くの山に全員が無事に避難できた「奇跡の学校」で知られる。1階は破壊された壁などが当時のまま保存されている。高校生らは津波の脅威に驚くと共に、避難した児童らの様子に思いをはせていた。伝承館では、震災後の被災者たちの写真に目を潤ませる生徒もいた。
視察後、埼玉県立松伏高1年の女子生徒は「一人ひとりの力が復興へと導いている。自分たちも工夫して何とか力になりたい」と話した。新潟明訓高2年の男子生徒は「復興に向け皆、前を向いて進んでいる。日本人の強さを感じた」と振り返った。
震災から10年以上がたち、当時の状況を経験していない若者が増えている。こうした中、復興庁は2022年度から全国の高校生を対象に、震災や原発事故の実情を次代へと伝える「出前授業」を展開してきた。ツアーはその一環で、同行した復興庁参事官補佐の大曲英男さんは、「復興への課題は今も山積している。現地の状況を生で感じてもらい、同じ世代に発信するきっかけになってほしい」と訴えた。
2日目は、ガイドらが同行する各地のフィールドワーク(町歩き)などを経て、ツアーで感じたことを互いに話合う機会を設ける。
からの記事と詳細 ( 津波の脅威に驚き、被災写真に目を潤ませ…復興庁が高校生の東日本大震災「現地視察ツアー」 - 読売新聞オンライン )
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