昨年7月豪雨の被災地で、食を通じた支援活動を続ける農村レストラン「ひまわり亭」の代表で、元人吉市議の本田節さん(66)が16日、県民交流館パレアが女性の政治参加をテーマに開いたオンライン講演会に登壇した。在宅避難者に食事を届けるなど、きめ細かい支援に取り組んだ経験を踏まえ、「被災者の声を届けるために、政治の場にもっと女性を増やさなければならない」と語った。
本田さんは1995年の市議選で当選、2期務めた。98年に50代~70代の女性らとひまわり亭を設立。地産地消のメニューを提供し、食文化の継承や観光PRに力を入れてきた。2017年には地域づくりの拠点「食・農・人総合研究所リュウキンカの郷[さと]」をあさぎり町にオープン。グリーンツーリズムのセミナーを開くなど人材育成にも取り組んでいる。
球磨川沿いに建つひまわり亭は、7月豪雨で約2メートル浸水。仲間たちと料理の腕を振るってきた厨房[ちゅうぼう]も泥水に漬かった。悲惨な状態に、本田さんは一時ぼうぜんと立ち尽くしたという。
しかし、すぐに気持ちを立て直し、被災者支援のためのネットワークを立ち上げた。「被災したのに人のために動くなんてと言われたが、非常時の今こそ、つながりを生かして動かなきゃと思った」
まず考えたのは、食事を提供する形での支援。新型コロナウイルスの影響で避難所での炊き出しができず、在宅避難を続ける被災者宅をキッチンカーで回った。リュウキンカの郷はボランティアの宿泊所として開放し、延べ2500人以上が訪れたという。
「県内外から寄せられた寄付や人的支援を支えに、新しい方法を探りながら取り組んだ」と本田さん。この経験を通じて、「ピンチをチャンスにするためには、ネットワーク、フットワーク、チームワークが大切だと分かった」と言う。
活動する上では、「自分の団体に加わってもらうのではなく、連携して横のつながりを広げること」を重視。持続可能な活動とするために、若い世代を巻き込むよう心掛けたという。
被災地の復興は緒に就いたばかり。本田さんは、特に在宅避難者など“見えない部分”の復興を進めるためには、現場で被災者と接している女性たちの声が必要だと強調する。
「政治の意思決定の場には女性の視点が欠かせないが、地方になるほど女性自身がその場に立つことを諦めてしまいがち。男女双方が活躍する社会をつくるために、一人一人の意識改革が必要です」(深川杏樹)
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